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21年ぶりドラマ主演の56歳俳優が「いまだに若々しい」ワケ。答えは“口元”にあった

“ミッチー”が演じる中年男役は若々しい?

日本テレビ『ぼくたちん家』公式サイトより

日本テレビ『ぼくたちん家』公式サイトより

 第1話中盤、昼時にベンチで隣に座ったことをきっかけに顔見知りになった教師・作田索(手越祐也)の元カレである吉田亮太(井之脇海)と玄一がクレープを食べる場面がある。  玄一が段階的に声を荒げていくのだが、亮太から静かにしてくれと指摘され我に返り「あぁっ」と恥ずかしそうに後ろを向く俊敏な動きは、佐久間役の身振りにも似た瞬発力がある。  玄一役の動作の細部にはいかにも“ミッチー”的なきらめきが宿っている。こうした固有のきらきら要素の重要成分の一つである口角をグッと上げる動きはやや控えめかもしれない。  水谷豊主演の人気シリーズ『相棒』など、毒々しいのにお茶目で圧倒的な品格も備える演技(キャラクター性)を押し上げるように支えるのが、グッと上がる口角だ。口角を上げることは、及川本人が若さの秘訣だというくらい署名的な動き。  今回の中年男役は当然年齢的には若くはない。でも若々しい。及川は、その案配を控えめな口角の上げ方で微調整しながら役柄にコミットしようとしているところがある。  第2話で訳あり少女・楠ほたる(白鳥玉季)と保護者になる契約を結んだ玄一は渋々ながらも語気を強めて「うちの娘がお世話になっております」と言う。その時、口角がグッと一瞬だけ上がるのだがわかる。  さらに第8話、パートナーになった索から「ご飯作ります?」と聞かれて「ですね」とにこやかに答える玄一は自然とあふれる笑顔に合わせて口角を上げる。さりげない口角のが随所でときめきを供給するオーガニックなミッチードラマなのだ。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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