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「声出して笑ってたら、突然の地獄…」NHK大河『豊臣兄弟!』が、歴史が苦手な人にも刺さるワケ

 2026年1月4日から放送が開始されたNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』。小一郎こと豊臣秀長(仲野太賀)と、藤吉郎こと秀長の兄・秀吉(池松壮亮)がメインとなっている。豊臣兄弟という歴史に詳しくない人でも馴染みのある2人にスポットライトを当てた、新大河ドラマの魅力を語りたい。
豊臣兄弟! 前編 (NHK大河ドラマ・ガイド)

豊臣兄弟! 前編 (NHK大河ドラマ・ガイド)

小気味良い会話劇

 まず登場人物同士の“会話”が目を引いた。テンポ感の良い会話劇は自然と耳に入ってくる。口調の荒い姉・とも(宮澤エマ)と小一郎の会話シーンも、思わず声を出して笑ってしまうようなドタバタホームコメディ的ホッコリ感を覚える。
 中でも、二枚では足りないほどの舌を使い、あることないことベラベラとまくしたてる藤吉郎は吸引力抜群だ。言っていることは支離滅裂ではあるが、その話し方や表情から、傾聴を強制してくる怪しげなセミナー講師のような妙な説得力がある。“天下の人たらし”と言わしめる豊臣秀吉らしさを、早くも表現している池松の演技はすごい。  また、会話中の間の使い方や表情の引き出しの多さを巧みに使い、“トラブルシューター”として問題を解決していく小一郎も、一見カッコ悪く見えるが、それでも暴力に頼らない姿勢はカッコいい。人の懐に入ることに長けている、ある意味「部下にしたい」と思わせる兄弟像が描かれている。

ハイテンションであることの効用

 とはいえ、日常の会話シーンはややハイテンションぎみで、大河ドラマらしい重厚感は薄まっている。しかし、舞台は戦国時代。人が虫けらのように一方的に命を奪われるシーンは珍しくなく、精神的にしんどくなる瞬間が多い。コメディ的なやりとりが散りばめられ、バランスをとることにより、戦国時代の残酷さを緩和させすぎることなく表現できている。  また、会話劇の軽快さが持つ効用は他にも見られた。2話では祝言を抜け出した直(白石聖)が小一郎の前に姿を現し、抜け出した理由を「どうしても無理なんじゃ、顔が」と語る。続けて、「あんたと違って顔立ちは良いし、目は切れ長で、鼻筋もとおった優男よ。あんたと違って」と小一郎に遠回しに求愛する姿は、微笑ましくも可愛らしい。  その数分後に、村は野盗の襲撃に遭う。そして小一郎は、幼馴染の信吉(若林時英)の切り落とされた顔を胸に抱き、「わしらが何をした?」と泣き叫ぶ。そんな胸キュン展開が繰り広げられたすぐ後に、斬首された信吉の死体が映し出され、小一郎たちが生きる戦国時代の残酷さが際立って表現されていた。作中のテンションが高いことも、より当時のリアルを鮮明に映し出しているように思う。
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