更新日:2026.04.26 09:35
Lifestyle

「今や食べない生活のほうが楽」アラフィフ女性が“断糖高脂質”で見た新しい世界

 糖質を排除し、脂質を栄養源とする断糖高脂質を8年間続けるさなさなさん(50代)。前編では、夫のダイエットをきっかけに金森式を始め、長年悩まされてきた片頭痛と便秘が食事を変えただけで消えた体験を語ってもらった。後編となる本稿では、さなさなさんが新たに取り組む「断食」に迫る。更年期の症状をきっかけに決断した72時間の断食とは、どのようなものか? 【関連記事】⇒頭痛と便秘との決別…アラフィフ女性が続ける「断糖高脂質食」8年間の奇跡
さなさなさん

体重40kg台前半と瘦せ型なさなさなさん。金森式をするとそれでも減量できてしまうので、肉を食べて体重を維持しているという

 断糖高脂質を世に広めた第一人者といえば、作家の金森重樹氏だ。「なぜヒトは脂質で痩せるのか」を上梓し、関連書籍は累計10万部を売り上げるほどの人気だが、そんな金森氏と縁あって「金森式」を8年間続けるさなさなさんが、新しく始めた習慣がある。断食だ。 「50代半ばになって、生理が上がって更年期の症状が出てきたんです。手のこわばりとか痺れとか。うちは女性全員がリウマチ家系で。怖くなって金森先生に相談したら、『断食してみたら?』とアドバイスをいただいて。ただ、昔、酵素断食をやったことがあって、それがもう辛くて辛くて。できれば断食はやりたくないなっていうのが正直な感想でした(笑)」  その気持ちを動かしたのは、偶然だった。 「たまたまお肉屋さんに行ったら、牛すじが5キロ塊で売ってたんです。これって、すごく珍しいことで。金森先生の断食では、回復食に牛すじを使うって聞いていたから、『運命なのかな……』と思いました。しかもこのとき、3日間休みをとっていたタイミングで。やるしかないって奮起したんです」
牛のアキレス腱

牛のアキレス腱20kg。「スーパーでも売っていますが、やはり町のお肉屋さんが品ぞろえもよく、まとめ買いできていい」

「味は度外視、健康に全振り」

 こうしてさなさなさんは断食を決心するが、初日から前途多難だった。 「試しにいつも朝食として食べていたコーヒーゼリーと生クリーム入り紅茶を抜いてみたら、昼過ぎには頭痛・吐き気・めまいが一気に押し寄せてきて。向こう3日間はそれが続きました。もう辛くて辛くて……耐えかねて先生に連絡したら、『コーヒーゼリーを抜いたことによるカフェインの離脱症状かもしれない』って。8年間続けてきた金森式の食事を、自分の判断だけで勝手に変えるのは無謀すぎたと反省して、以降は先生に教わりながら断食に再挑戦することにしました」  金森式断食では、48〜72時間を一サイクルとする。24時間程度では代謝が糖中心から切り替わり始める段階にすぎないが、48時間を超えると腸の再生機構が本格的に働き始め、炎症やアレルギー反応を抑えるなど質的な変化が現れる。 「一サイクル目はキリよく月曜日から始めようと思って、日曜日の夜6時までに食事を終えて、結局水曜日の夜6時まで、最初から72時間断食しました。48時間でよかったんですが、意外とすんなりいけてしまったんですね。断食中に口にするのは水とサプリ、あとはミントティーに一味唐辛子を加えたものだけ。メンソールとカプサイシンが合わさると炎症を抑える力が単独で摂るよりも699倍も高まると報告されているそうで。味は完全に度外視して、健康に全振りしてます(笑)」
ミントティーに一味唐辛子を加えたドリンク

家庭菜園したミントでミントティーを作り、そこに一味唐辛子を加えたドリンク。「おいしくはないけど、薬を飲んでいると思えば」

 断食明けの回復食も非常に大切だ。体の修復に必要なアミノ酸を選択的に取り入れるため、少量から慎重に食事を戻す必要がある。回復食には、腸や組織の修復を助ける作用を持つグリシンというアミノ酸が最適で、牛すじはその宝庫だ。 「断食明けは牛すじスープから始めて、6日間かけて成長系アミノ酸も含む肉へと戻していきます。最初は牛すじを煮出して作ったゼラチンスープで胃を慣らしました。一言で牛すじといっても、アキレス腱などの腱の部分と、内臓周りの肉のついたメンブレンという部位があって。修復系だけでなく再構築のための成長系の肉も入れた方がいいので、このふたつを食べました。味付けはターメリックと黒胡椒。この組み合わせによってターメリックの吸収率が約20倍に高まるとされています」

「飢餓状態がヒト本来の機能を取り戻す」

アキレス腱の牛すじスープ

回復食として食べる、アキレス腱の牛すじスープ。味付けはターメリックと黒胡椒。コラーゲンたっぷりで、美容効果もある

 さなさなさんは、現在も金森式断食を実践中だ。一サイクル目こそ回復食の牛すじが喉を通らないほど辛かったが、現在5周目に突入。「慣れてしまえば、食べない生活の方がラク」と言う。 「前に酵素断食をしたときは、回復食に甘くて美味しい酵素ジュースを飲んだんです。これが良くなくて、どうしても食べたいという気持ちが湧いてきてしまった。その点、牛すじはコラーゲンなので食欲が刺激されづらいですね。牛すじがベスト。けど、イカ、タコ、牡蠣などもメチオニン/グリシン比率が低く修復よりです。バリエーションをつけると、継続しやすくなります」  金森式断食を続けるうちに、さなさなさんの体に劇的な変化が起きた。 「びっくりしたのが、50歳を過ぎて不定期になっていた生理がちゃんと来るようになったんです。生理が来るということは、きちんと女性ホルモンが出ているという証拠。女性ホルモンが出ている限り、更年期障害にもならない。先生が言っていた『飢餓状態によって人間本来の機能を取り戻す』って、こういうことなんだと身をもって実感しました」  さなさなさんは、今後も断食を続けていくという。 「『3か月続けたら、体が元気になっているのがより実感できる』と先生が言うので、とりあえずそこまで続けようと思います。でも、それを実感しちゃったら、今後一生続けていっちゃいそうですね(笑)」  飽食の時代に、人間の体は静かに壊れ続けている。さなさなさんが72時間の飢餓から取り戻したものは、現代人が食べすぎることで失ったものそのものだ。断食は苦行ではない。正しい手順を踏めば、体が本来持つ力を呼び覚ます、最もシンプルな手段なのだ。 <取材・文/桜井カズキ>
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ