その瞬間、後ろにいた40代ぐらいの女性が、ためらいもなく「今の、もう一回言ってみなさい」と一歩前に出たそう。

画像はイメージです(以下同)
低く、しかしはっきりと通る声。迷いのないその一言に車内の空気が一気に凍りつきました。
「車内は静まり返り、男性が顔を上げ『は?』と反抗的な表情をしていましたが、女性は断固として譲らない様子で『ここ、あんたの家じゃないんだけど?』とさらに強い口調で返したんですよ」
男性は一瞬たじろぎながらも、舌打ちをして再びスマホに視線を落とそうとします。しかし「逃げないでよ」その一言で、動きが止まりました。
女性は落ち着いた口調のまま「今、自分が何したか分かっている? どうしようもない理由でぶつかっただけの人に、避けろって言ったのよ、あんた」と続けたそう。
「顔を上げた男性の『ウザいんだけど』に、間髪入れず『ウザいで済ませるな! やったことの中身で話しなさい!』という女性の言葉に、私は激しく同意してしまいましたね」
女性はさらに間を置いて「さっき言ったことを、自分の家族に向かって言える?」と静かに問いかけます。男性は「は?」と返したものの、その後は黙り込みます。
「お母さんでもいい。おばあちゃんでもいい。邪魔だから避けろって言えるの?」
それでも男性は何も答えられません。
「言えないでしょ? じゃあなんで、ここでは言えるの?」
男性は何も言い返せません。
「答えられないなら、それが答え」
車内は、息を呑むほど静まり返っていました。やがて男性はゆっくりとスマホを下ろし、小さく舌打ちすると、無言で足を閉じました。