「店の宣伝になるから」インフルエンサーへの“無料サービス”が招いた飲食店の経営危機
うまい話にはウラがあるという聞き慣れた言葉もあるけれど、お得なことにはつい乗っかりたくなるという人も多いのではないでしょうか。退職金や貯金を元手に脱サラをして飲食店のオーナーとなった木下真人さん(仮名・40代後半)も、そのひとりでした。
飲食店業界への参入は初めてだった真人さんですが、食べ歩きは昔から大好きで自分の舌にも自信があったとか。オープン前には地域の新聞や地方紙、地域のインフルエンサーなどさまざまな媒体が取り上げて宣伝してくれ、SNSのフォロワーは一気に増えていきます。
「いろいろな人たちが宣伝してくれてラッキーだと思っていたとき、実際に料理を食べて感想も発信したいという自称インフルエンサーのカズ(仮名)がオープン前の店にやってきたんです。ただ、アカウントを教えてもらって確認したところ、フォロワーは数千人程度」
悩んだ真人さんでしたが、「これも宣伝」とOKし、撮影用の料理を無料提供することにします。オープン後には2人くらい、「カズのファン」だという人も来店。少しでも効果があったことに真人さんは大喜びします。
「自称インフルエンサーにSNSのDMからお礼のメッセージを送ると、すぐに返事がありました。相手もすごく喜んでくれていて『友だちにも宣伝しておきます』との返事。あたたかい気持ちがあふれそうになりながら、『ありがとうございます』と打ち返しました」
はじめての飲食店経営で心あたたまる体験をし、店を手伝ってくれていた親戚の真由さん(仮名・30代)にもドヤ顔でその出来事を話した真人さん。しばらくは上機嫌で仕事をしていましたが、カズに聞いたという自称インフルエンサーが次々と訪ねてきます。
「友だちに宣伝しておくというのは、こういうことだったのかと落胆しました。俺はてっきり、店へ食べに来てくれる純粋なお客さんを想像していましたから。しかもなかにはフォロワーが100人を切るような“自称インフルエンサー”もいました……」

ただ、自称インフルエンサーたちは真人さんの料理を褒め、人柄を褒め、とにかく盛り上げてくれます。もともと断ったり突き放したりするのが苦手な真人さんは、どんどん自称インフルエンサーたちの手のひらで踊らされるようになっていきます。
「つい楽しくなるとサービスしたくなって、その人たちが普通に食べに来てくれたときも飲食代を無料にしたり、特別に手に入れた食材なんかがあれば出してしまったりね。自分でも不思議なんですけど、いろいろしてあげたくなっちゃうんです」
店の宣伝をしてもらい、あたたかい気持ちに
自称インフルエンサーたちについサービス

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