朝ドラ『風、薫る』で注目の古川雄大。テーマパークから“完璧な貴公子”へと上り詰めた異色の経歴と努力
地道な努力によって造形された貴公子像
学生時代は、クラシックバレエを習っていた。2021年放送のNHKドラマ『カンパニー〜逆転のスワン〜』(BSプレミアム)では、バレエを習っていないのに『白鳥の湖』(それも新解釈!)のジークフリート王子役に担ぎ上げられる、人気アイドル・水上那由多役で出演している。ドラマ内でもやっぱり高貴な役柄が似合うのである。 同作はKバレエ カンパニーが監修している。芸術監督(現在はK-BALLET TOKYO総監督)である熊川哲也にとって、『白鳥の湖』は「熊川バレエの代名詞」と評されるほど重要な演出レパートリーである。 同カンパニーの宮尾俊太郎も世界的バレエダンサー・高野悠役で出演し、バレエ素人の水上のことを認めようとしないのだが、水上も自分は何万人も入る会場でファンをわかせられるのだと食い下がる。 だが高野が言うようにバレエは「付け焼き刃のレッスン」でできるものではない。練習する中で水上もそれなりに葛藤する。ルドルフ役同様、高貴(であると同時に尊大なところもある)な分だけキャラクターの葛藤は大きくなる。 古川はこうした高貴な葛藤を演じるのがうまい。最初は主人公たちのことを見下し、鼻で笑っていた今井役でさえ、第13週第65回あたりから静かな人間味(葛藤)がうまれていた。 ただ単に、王子様のようなビジュアルであり、高貴な佇まいがあればいいわけではない。役柄の葛藤をきちんと表現するための細かな役作りや分析に裏打ちされてこそではないのか。 神は細部に宿ると言葉でいうのは簡単だけれど、古川雄大が体現する完璧な貴公子像は、地道な努力によって造形されたものなのだ。 <文/加賀谷健>
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