そして、ようやく山頂へ到着。そこでは、多くの登山者が絶景をバックに記念写真を撮ろうと、お互いに順番を譲り合いながら並んでいました。
「ですが、そのカップルは山頂標識の前で当然のように陣取って、自撮り棒を何度も伸ばしたり縮めたりしながら撮影し始めたんですよね」

※画像はイメージです
カップルは「背景が微妙!」「もっと右!」「もう一回!」と、そんなやり取りを延々と繰り返し、自分たちの表情や景色の入り方が少しでも気に入らないと何度でも撮り直したそう。
「せっかく登ってきたのに、なんでこんなカップルのイチャつき写真のために私が足止めされなきゃいけないの? とため息をついたその時……それまで青空だった山頂に、ふわりと大きな雲が流れ込み、あっという間に景色は真っ白になってしまって」
まるでタイミングを見計らったかのように、山頂を覆う雲。眼下に広がっていた壮大な景色は一瞬で姿を消してしまいました。
「あれ? さっきまでよく見えていたのに! マジムカつくんだけど」と慌てるカップルでしたが、もう絶景はどこにもありません。
周囲からは「もう、早くしないから絶景写真撮れなかったじゃん」「バチが当たったんじゃないの?」「神様がいい加減にしろって言ってんのよ」という声も聞こえてきました。
「結局カップルは『絶景バックで撮れないなら意味ねーし、こんな暑くて虫の出るとこ早く降りよ』とぶーたれた表情で山頂を後にして……。山の天気は変わりやすいし、少し待てばいいのにと思っていたら、案の定、しばらくして雲が流れて美しい景色が再び姿を現したんですよね(笑)」