おどおどキャラを得意としたトレンディ俳優時代からの変化

あすなろ白書 DVD-BOX(フジテレビジョン)
多田役からは想像もできないが、かつての筒井はむしろ、心優しいキャラクター性が似合う俳優だった。
1990年代の彼はトレンディ俳優として名を馳せ、最高視聴率30%を超えた『あすなろ白書』(フジテレビ系、1993年)など、平成ドラマを代表するヒット作の出演者であり、アイドル的人気があった。
三谷幸喜による脚本作でも気を吐き、不動の存在感である多田役と対照的に、やや挙動不審なおどおどキャラを得意とした。特に、1995年放送のドラマ『王様のレストラン』では、その持ち味が効果的に発揮された。
同作第5話に印象的な場面がある。
しっちゃかめっちゃかなフレンチレストランのオーナーになった原田禄郎(筒井道隆)が、バーカウンターの席に座ったり、立ち上がったり、何とも落ち着きない動きだった。しかし、その見事な動線が視聴者を飽きさせない演技でもあった。
かつてのおどおどキャラから不動の存在感へ。トレンディ俳優時代から実に30年以上経ち、長いキャリアの変化の中で筒井道隆は、『風、薫る』で新たな魅力を宿した。
<文/加賀谷健>