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「こんなおばさんがセクハラ被害なんて…」47歳・派遣女性の葛藤。加害者は26歳、「若い男にチヤホヤされて嬉しいだろ」と言い放つ歪んだ特権意識|ドラマ『リーガルビート』

被害者が声を上げるのは「ずるい?」

 倉野以外の登場人物が抱える葛藤も目を引いた。倉野が声を上げたことに、自身も被害者である仲村は当初「仕方ないことだって耐えてきたんですよ、こっちは」「これまでの我慢はどうなるんですか?」と口にしており、むしろ同じ被害者である倉野を責めるような言動を見せていた。  被害に遭ったから声を上げる。何も間違ったことはしていない。にもかかわらず、「自分は我慢してきたのに」「事を荒立てずに穏便に過ごしたい」など、理由は様々ではあるが、怒りの矛先が加害者ではなく被害者に向けられるケースは現実世界でも度々目にする。  こうしたケースは特に、加害者が権力者だった場合に顕著に見られる。こうした人間の嫌な部分も正面から描いていたからこそ、倉野だけではなく仲村にも感情移入できたのかもしれない。

エンタメとしての幸福感も

 これがドラマでなく現実世界なら、倉野のように声を上げても、必ずしも報われるとは限らない。倉野は解雇され、声を上げても誰も手を差し伸べず、大塚は今日もセクハラ三昧を決め込んでいた可能性もある。ただ、本作はエンタメだ。理不尽に対して一緒に怒ってくれた仲村たちの勇気ある行動のおかげで、倉野が報われたことには救いがあり、カタルシスがあった。
 とはいえ、ただの絵空事とは思わない。困っている人のために一緒に声を上げ、怒ることが、誰かを、ひいては自分自身を救うことを示すラストになっており、何とも言えない幸福感があった。  それと同時に、声を上げることはコスパ・タイパともに悪く、むしろ声を上げる人を冷笑しているほうが手軽に気分が良くなれるが、それでも声を上げる人をカッコ良く描いており、勇気をもらえるエピソードだった。  最終回まで残りわずかではあるが、エンタメとして楽しめつつも、自分事として何かを考えたくなるエピソードに期待したい。 <文/望月悠木>
望月悠木
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki
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