なんと離婚前より家計がラクになる!【シングルマザー、家を買う/第3章・後編】

<シングルマザー、家を買う/第3章・後編>

バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。

⇒【前編】はコチラ

役所のおじさん、声がデカすぎ



 ねぎらいの言葉ももらえず、私がライターに向いているのかいないのかの答えもわからないまま、トボトボと帰ろうとすると、そのおじさんいデカイ声で呼び止められた。

「吉田さん! 子供いるんでしょ! 次は母子手当の申請してね!」

 個人情報もプライバシーもあったもんじゃない。

 みんなの前で大声で吉田さんと呼び止められ、母子手当を申請するというくだりをそのフロア全員に知られ、もはやどうでもよくなる。

 そうです。今日から私、母子家庭ですから! おじさん、声デカイから! さっきシカトしたくせに!

シングルマザー、家を買う/第3章(3) これまでにないほどの注目を浴びながら役所の2階に児童扶養手当の申請に向かう私は、さすがに悲しくなってちょっと泣きそうになった。でも、ここで泣いてもどうにもならない。もう、もらえるものは全部もらってやろう!

 そんな強気で向かったのは子育て支援課。そこで説明されたのは母子家庭がどれだけ援助金をもらえるかということ、さらには東京都は水道代の基本料金が無料になること、JRの定期券が減額されること、都営のバス、都営の電車がすべて無料になるということだった。

月10万円弱の手当……やるじゃん、国!



 地方自治体によってまったく違うが、東京都と、私が住む東京郊外の市は、どうやら母子に優しい街らしい。市からもらえるのは児童扶養手当ととして満額が41430円(所得制限あり)、2人目以降はさらに月額5000円が加算され、さらに児童育成手当てとして1人13500円がもらえるのだ。さらには国からは、子供手当てがもらえるので、2人の子供がいる私は月額10万円弱をもらえることとなった。
 
 ……あれ、予想以上にすごいもらえる! これに少ない私の給料と養育費をプラスすれば、なんとか人並みの生活ができるということに気付いたのだ。さらに認可保育園も、結婚していたときは子供2人あわせて4万円も払っていたが(無認可の保育園に入れていたときなんて、2人で10万円だった)、離婚した途端、月額2人で4000円になった。

 その当時は家賃よりは安い生活費を入れることで実家に身を寄せていた。保育園代も相当安い。その結果、はっきり言って結婚していたときよりも生活が余裕になったのだ。これがわかった途端、なんだか心の不安がすっと取れた気がした。母子家庭にとって問題なのが金銭問題。巷では母子家庭の餓死などの報道もあり、ものすごく不安だったのだ。

 でも、やるじゃん、国! 東京!

 これなら、毎月子供たちに小額だけど貯金がしてあげられる。大学も行かせてあげられる。(医学部とかムリだけど!)なにしろ、毎日ちゃんとご飯が食べさせてあげられる!

 これまで国に対して「まったく期待もしてないし恩恵も受けてないぜ」とよくわからないままロックな発言をしていたけど、こんなにも国に世話になる日が来るなんて。ありがとう、ジャパン!

 一気にテンションが上がった私は、表情に血の気が戻り、ちょっと跳ねながら帰ろうと踵を返すと、そこでも大声で呼び止められた。

「吉田さん! お子さんの保険の名義を変えないと! 次は保険課に行ってくださいね! 世帯主の名前、“吉田”にかえないと!」

 ……あれ、この市役所は私にケンカを売ってるのかな?

 お願いだからわたしの個人情報、大声でばら撒かないでくれますか?

 一応これでも、デリケートな女子なんですから!



<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>

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【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky

※次回更新は1月14日を予定しています。

シングルマザー、家を買う

年収200万円、バツイチ、子供に発達障がい……でも、マイホームは買える!

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