脱がずにAVに出られるバイト、“女性AVエキストラ”体験記
【女性エキストラが見たAV収録の現場 Vol.1】
ライターを始めてもう20年になりますが最近、やたらナース服を着ています。ナース服着てライティング? いやー、白衣着てるとはかどるんですよ執筆……じゃなくて。最近暇な時にやっているバイトで着てます。なんのバイトかというと、AVのエキストラです。
AVにはいろんなシチュエーションがありますが、中でも割と病院モノって多いらしく、ナース役がよく回ってくるわけです。というわけで、このユル連載では、「エキストラが見たAV収録の現場」についてお話ししようと思います。
女子にとってAVってあんまり馴染みがない人が多いですよね。「AVでエキストラやってる」と言うと、「脱いでるの!?」と聞かれます。AVの出演者には、AV女優、エキストラ女優、男優、男女エキストラがいます。
そのうち男優までが、エロに関わるお仕事をします。男女エキストラは、まあそこら辺の通行人とかの脇役でエロには絡みません。
おまけに残念ながら(?)男女エキストラは、行為そのものを直接見ることもほとんどありません。行為が始まるまでの盛り上げ役としては必要だけど、いざカラミが始まったら視聴者の方全員が「他のやつイラネ」と思うでしょ。脇役の出番なんかないわけです。
なので、あえぎ声は遠くから聞こえてくることがあるけど、カラミ収録中は待機してて現場にいません。
これまたよく聞かれるのが、「きみきみ、いいねえ! ちょっと脱いでみない?とか誘われないの?」という話。むー、ないなあ。エキストラは、いわゆる派遣のような形で現場に行くことが多く、元締めの方が制作会社ときっちり話をつけてくれているのです。
日常的にエキストラを使っているメーカーさんばかりなので、現場でセクハラされたりとか、変なモノにお声がかかったりしたことは一度もありません。
だけどやっぱり女子にとってAVの現場でお仕事をするというのは敷居が高いことです。「絶対脱いだりしたくない」と思っている人ならなおさら。いっぽうでAV女優という職業は、いまや憧れを持つ子すらいたりして、希望者はごまんといます。
ここら辺はまた後日お話ししますが、そんなわけで、AVには「脱ぎたい女子」はたくさんいるけど、「脱ぎたくない女子」はほとんどいません。
経済学かなんかでは、供給過多になれば物価は安くなり、需要が高くなれば物価は上がります。AVでも同じような市場原理が働いていて、AV女優さんたちの出演料はどんどん下がっています。
一方で「脱がないけど出ていいよ」という女子は少ないので、出演料はあまり下がりません。拘束時間などにもよりますが、私の場合は日給8000円ぐらいが多いです。
だから、エキストラ女優という「脱ぐけど大勢のうちのひとり」というような女優さんの場合、単なるエキストラとほとんど日給が変わらないことすらあります。「ねじれ」というのか、ちょっと複雑な気がしますね。脱がなくても同じ金額をもらえるのなら、脱がないほうを選ぶ、という女子もまた相当数いるように思うのです。
もちろん彼女たちが本番アリの収録をすると日給が跳ね上がるので、簡単には比較できないですけどね。
<TEXT/和久井香菜子>
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【和久井香菜子(わくい・かなこ)】
ライター・イラストレーター、少女漫画コンシェルジュ。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、語学テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。街で見かけたおかしな英文から英語を学ぶ「Henglish」主宰。
ナース役や通行人役で……
脱ぐ人と日給が変わらない場合も

和久井香菜子
ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「合同会社ブラインドライターズ」代表