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不倫はバッシングしてもなくならない。じゃあどうする?

不倫で破滅しないための処方せんはあるか?

――ではどうすれば不倫を防げるのでしょう? 坂爪:残念ながら、完全に予防することは難しい。ですから、不倫で破滅的なダメージを受けないように、“不倫ワクチン”を手に入れることを僕は提唱しているんです。 ――不倫ワクチンとは? 坂爪:ひとつは、割り切った『婚外セックス』です。  昔は、ある種の祭りは乱交の場でした。そうした文化が衰退した今は、不倫専門SNS、デートクラブ、スワッピングなどが、リスクを抑えつつ婚外セックスができる場所として機能しています。  そういう場を利用している人を何人も取材しましたが、婚外で性欲を発散することで、家庭が円満に保てているという例がありました。 不倫――でも夫や妻の婚外セックスを認めるのは、ハードルが高そうですね…。あと、著書では「ポリアモリー」にも触れていますね。 坂爪:はい。ポリアモリーとは、『責任を持って、同時に複数の相手と恋愛関係を結ぶ』ことです。乱交でも浮気でもありません。パートナーときちんと話し合って、複数の人と誠実な付き合いをする。  日本でも、少数ですがポリアモリーのコミュニティもあって、実践している人を取材しました。 ――うまくいってましたか? 坂爪:ものすごく大変だ、とおっしゃっていました(笑)。

恋愛は人それぞれ。“正解”はない

――もうちょっと穏便な不倫回避策はないもんでしょうか。 坂爪:月並みですが、まずは夫婦間で話し合う習慣をつけることですかねえ。お互いが気持ちをしっかり話すだけでも、不倫の可能性を減らせると思いますよ。  それと、結婚生活を継続するためには“維持コスト”がかかることを意識しないと。 ――「維持コスト」ってなんですか? 坂爪:相手を思いやり、時間やお金を使うことです。 ――でも「釣った魚にエサをやらない」男性は多そうですよね…。 坂爪:そうかもしれませんね。  いま、『婚前交渉』及び『婚外交渉』についての情報はたくさんあるのに、『婚内交渉』=日常の夫婦間セックスを充実させるための情報は、SPA!さんを含めた男性誌でもほとんど取り扱われませんよね。結婚生活の質を上げていく方法について、もっと学ばなきゃいけないですよね。 ――坂爪さんの示されたような方法で、不倫をめぐる問題は解決しそうですか? 坂爪:これだ! という方法はまだないですね。  ただ、婚外の恋愛やセックスに対してのボキャブラリーをもっと増やすべきだと感じました。なんでもかんでも『不倫』とひとくくりにしてバッシングしていいのか? と。もっといろんな呼び方があってもいい。  恋愛というのは人それぞれです。もう少し多様性を認めて、他人のことは放っておける社会になれば、過剰な騒ぎは起こらなくなるでしょう。  今、不倫バッシングが盛り上がっているのは、最後のあがきのようなものかもしれません。 =========== ※1)『カラダと気持ちーーシングル版』(日本性科学会・セクシュアリティ研究所編著、三五館)。関東在住の40~70代の独身男女1838人に調査。独身女性の38%にパートナーがいて、その53%が「交際相手に配偶者がいる」と回答。 ※2)雑誌『プレジデント』と「gooリサーチ」によるウェブ調査(2009年)。全国の40~60代の既婚男女に調査、有効回答3208名 <TEXT/和久井香菜子> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
和久井香菜子
ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「合同会社ブラインドライターズ」代表
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はじめての不倫学 「社会問題」として考える

既婚者が、「不倫」の誘惑に抵抗するためにはどうすればいいか?子どもや若者世代の貧困、ひとり親家庭や生活保護、高齢者の孤独死など社会問題の背景には、「不倫」がもたらす家庭破綻、それに伴う経済状況や健康状態の悪化が潜んでいる。にもかかわらず、「不倫」は個人の色恋沙汰、モラルの問題として捉えられてしまっているのが現状だ。本書では、既存の「結婚」に囚われない多様な在り方を実践している男女への取材をまじえながら、「不倫」を「個人の問題」として捉える視点から脱し、「社会の問題」として捉えなおすことによって「不倫」の予防と回避のための処方箋を提供する。本邦初の実践的不倫学!

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