不倫はバッシングしてもなくならない。じゃあどうする?
不倫報道が相次いでいる2016年。そのたびに大バッシングになるわけですが、いつまでこんな騒ぎが繰り返されるのでしょうか。
一方で、4月28日には、林真理子原作の不倫小説『不機嫌な果実』をドラマ化した連ドラがスタートしました(テレビ朝日系、金曜・夜11時15分~)。原作の発表時、本の帯にはこうありました。「夫以外の男とのセックスは、どうしてこんなに楽しいのだろうか」ーー。
『はじめての不倫学』『セックスと障害者』の著者である坂爪真吾さんに、前回、乙武洋匡さんの不倫問題について伺いました。
坂爪さんは、「不倫をなくすことは不可能。個人をバッシングしても意味がない。社会の問題として捉えるべき」だと言います。ではどうすればいい?
※坂爪真吾さん=重度身体障がい者に対する射精介助サービス「一般社団法人ホワイトハンズ」の代表理事。新しい「性の公共」をつくるべく、活動・執筆を続けている
――坂爪さんは、「不倫は特別なことではない」という立場なんですよね。
坂爪:歴史を振り返れば、いつだって“不倫”に当たるものはありました。
ただ1980年代までは、例えば政治家に愛人がいてもたいして問題にされませんでした。『英雄色を好む』ではないですが、『いて当たり前』という雰囲気があった。
――不倫がバッシングされるようになったのは、男女平等化も理由のひとつでしょうか。
坂爪:それはあるかもしれません。
しかし、ベッキーさんや乙武さんなど『やってはいけない』とわかっている立場の人でも、ブレーキが利かないのが不倫なんですよね。
――『はじめての不倫学』が引用している統計を見ると、独身女性の彼氏持ちのうち、53%は相手が既婚者、つまり不倫だということですね!(※1)
また既婚者のうち、不倫経験があるのは夫34.6%、妻6%という調査も載っていました(※2)。
坂爪:ええ。データを調べれば調べるほど、不倫は特別なことではないのがわかります。誰にでも起こりうることなんです。
不倫を叩く人は『自分は絶対しない』と思いこんでいるのでしょう。自分とは関係がない人がやることだと。でもそれはちょっと想像力が足りないと思います。
歴史的にも、生物学的にも、一夫一婦制は無理がある制度なんです。
――不倫は「ある」ということを前提にするべきだと。
坂爪:はい。日常茶飯事のはずなのに、建前上では『あってはならないこと』になっているから、過剰にバッシングが起きるんです。
――でも、みんなやってるからオッケーというのでは理屈が通りませんよね。
坂爪:確かに、不倫が良いことだとは思いませんよ。家庭崩壊を引き起こして、離婚や子供の貧困などの社会問題にもつながります。
だから僕は、不倫を個人の問題でなくて、社会の問題として捉えるべきだと考えています。

坂爪真吾さん
独身女性の彼氏持ちのうち半分は不倫!?
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『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』 既婚者が、「不倫」の誘惑に抵抗するためにはどうすればいいか?子どもや若者世代の貧困、ひとり親家庭や生活保護、高齢者の孤独死など社会問題の背景には、「不倫」がもたらす家庭破綻、それに伴う経済状況や健康状態の悪化が潜んでいる。にもかかわらず、「不倫」は個人の色恋沙汰、モラルの問題として捉えられてしまっているのが現状だ。本書では、既存の「結婚」に囚われない多様な在り方を実践している男女への取材をまじえながら、「不倫」を「個人の問題」として捉える視点から脱し、「社会の問題」として捉えなおすことによって「不倫」の予防と回避のための処方箋を提供する。本邦初の実践的不倫学! ![]() |