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純愛+エロス…BLマンガに“普通の女子”がハマるワケ【2013年BLランキングも発表】

 男性同士の恋愛を描いたBL=ボーイズラブマンガ。「ああ、こじらせた女子が読むエロマンガね」なんて思っている人は、はっきり言って”生きる化石”です!  マンガ専門店のBL売り場も広がってきているし、女性誌からインテリ雑誌『ユリイカ』までがBL大特集を組む時代。普通にかわいいOLさんが、スマホに電子書籍のBLタイトルをテンコ盛りにして、職場男性をつい脳内カップリング……なんて話もあるのです。

えっ。あの人気作家もBL出身だった

   なぜ今、こんなにBLがメジャーになったのでしょうか? 朝日新聞などでマンガ評を執筆している山脇麻生さん(ライター&編集者)によると、 「ひとつには、BL出身作家が一般誌で活躍していることが挙げられます。  映画化された『大奥』をはじめ、一般誌でも人気のよしながふみ、各マンガ賞の上位に顔を覗かせるヤマシタトモコ雲田はるこえすとえむなど、BL出身の才能あふれる作家が数多く活躍しているんです」(山脇さん)。    そこで、“あの人気作家の名作BL”を山脇さんに挙げてもらい、BL初心者の女子SPA!編集部が読んでみました。 BL●『くいもの処 明楽』 ヤマシタトモコ 居酒屋「くいもの処 明楽」の店長・明楽高志(32歳)が、生意気なバイト・鳥原泰行(26歳)に、突然告白され……。ほか2編を収録。 <読んでみた> 考えすぎる若者×おばかちんなオッサンという、一定層には鉄板!な組み合わせ。オッサン・明楽が、年齢ゆえに若者のアタックにいちいち悩む姿がかわいらしかった。初めてのHにたどり着いたのに、甘くなりすぎないのがこのカップルらしさかも。 BL●『窓辺の君』 雲田はるこ 内気な大学助手が学生に恋をする表題作のほか、サラリーマン同士、ピアノ教師×ボクサーなど、いろいろな短編が1冊で楽しめる。 <読んでみた> 表題作で“窓辺の君”の性格に主人公と一緒にびっくりしつつ、最後にとあるきっかけで2人の想いが通じ合うシーンの表情は、何気ないけどきゅんとしちゃいました。他にも、高校教師がドSな生徒にかわいくアンアン言わされちゃうお話もコミカルでオススメ。 BL●『ショーが跳ねたら遭いましょう』えすとえむ 母親の死をきっかけに舞台に立てなくなったフラメンコダンサーが、ハリウッド映画出演で若手人気スターと出逢い……。7編を収録した著者初コミック。 <読んでみた> 表題作は、ダンサーと俳優が、魔が差したようなキスをきっかけに恋に落ちてしまう話。ダンサーが踊るシーンがとにかく官能的! 2人がベッドになだれ込むきっかけも、踊る姿を見たせいだったりして……。芸術的な官能が溢れる作品でした。

おススメのBLマンガを一気読みしてみた!

 さて、多彩な作家がBL出身者に多い理由のひとつに、特有のデビューシステムが挙げられるとか。 「一般誌の場合は、持ち込みor投稿→賞レースに応募→デビューというルートが一般的。その間、編集者というフィルターを何度も通ります。 でも、BLでは同人誌で注目されている作家がスカウトされるケースも多く、デビュー前から固定ファンを抱えている彼らに編集者もそこまでうるさいことを言わない……つまり、自由度が高いと言えるのです」(山脇さん)。  かく言う私は、「いきなりそこに突っ込まれて痛くないのか?」が気になってBLに感情移入できなかったクチですが、濡れ場度0%から100%まで、さまざまなBLがあるんですね。お気に入りの1冊を見つけられるよう、オススメBLマンガを教えてもらいました。 BL●『同級生』中村明日美子 「まずは『ここからBLにハマった』という人も多い『同級生』シリーズを。滑らかな白磁を思わせる描線が紡ぎだすのは、ゆっくりとマジメに恋をする2人の高校生。スピンオフ作品が『空と原』という単行本にまとまったほどの人気作です」(山脇さん、以下同)。 <読んでみた> 男子校の同級生という、微妙なお年頃2人が主人公。描かれているのはキスシーンくらいなんだけど、絵柄が色っぽい! 2人の近づいていくさまがかわいらしく、見守る先生は大人の色気で、とにかく眺めていてムフフと楽しかった。 ●『窮鼠はチーズの夢を見る』水城せとな 「一般誌に掲載された作品ですが、ぜひ。まっすぐゆえに痛い、ご都合主義ではないドロドロの恋愛劇を堪能することができます」。 <読んでみた> 昼ドラ的なドロドロした話が好きな人にオススメかも。流されやすい主人公にややイライラしつつも、だからこその泥沼っぷり。じらしまくった果ての、ラストに来る濡れ場はまさにクライマックスという感じで、最初から最後まで目が離せなかった! BL●『どこにもない国』草間さかえ 「クセのある作品が好きな方に。戦時中、南の島に配属された上官と部下の関係を描いた本作は、“嘘”が絶妙のスパイスになっています」。 <読んでみた> 戦中に南の島で2人きりになった上官と部下は、日本に戻っても2人きりでひとつの家に暮らし、濃密な空気が……。嵐の夜に抱き合う場面は、世界にお互いしかいないかのようで、魅力的なシーンでした。 BL●『宇田川町で待っててよ』秀良子 「これもオススメ。臆病な女装男子と一途な男子高校生の不器用な青春ラブストーリーです」。 <読んでみた> クラスメイトの女装趣味を知ってしまったことがきっかけで、接点のなかった2人が徐々に近づいていくのだけど、にじりよっていく感じがすごくリアル! お互いどうしたらいいか分からない感から始まり、ボーナストラックではめろめろになってHしちゃってる八代くんがとっても乙女。 BL●『蛇崩、交差点で』藤たまき 「タイトルに冠された場所が家の近所だったので、ふと手にしました。初恋の人を長く思い続ける高校生が登場。その甘酸っぱさが胸に沁みます」。 <読んでみた> 小学生の時に道で見かけた相手を想い続け、一度離れてもずっと変わらず気にかけ続けるという純愛物語。夏に2人きりで別荘で過ごし、朝な夕なと抱き合って過ごす時間が、おとぎ話のようで優しい気持ちになりました。

「男×女」ではもうありえないピュアな恋物語

 女性にとってBLの魅力は、「なんといっても、そのピュアで一途な愛情表現でしょう」と山脇さん。 「年頃の女子がリアルで恋愛するとなると、結婚だの、相手の経済力だの、ドッと気疲れする問題が付きまといます。 それは生きていく上で仕方ないことなのですが、BLの登場人物たちが不安定になるのは、(ほぼ)2人の関係性に由来することのみ。だから読者は現実を忘れ、きゅんきゅんしながら甘く切ない心理描写に没入できるのです」。    男女の恋は世知辛い、と知っちゃった私たちに、男×男の恋は美しくエロティックなファンタジーなのでしょう。

発表!eBookJapan 2013年BLランキング

 さて、最後に電子書店「eBookJapan」の2013年BLランキングを発表します!  上記で紹介した作品より、かなりエロ度が高いBLも……。  今なら、ランキング作品の一部をちょい読みできる特別無料冊子『2013年BLランキング手帖』も無料配信中です。 BL1位 『ワルイコトシタイ』桜賀めい <読んでみた>学園BL。金髪ピアスで見るからに不良な主人公(受け)なのに中身は鈍感純情で、生徒会長(攻め)の周到な罠にかかって、あれよあれよと美味しくいただかれてしまいます。”受けにだけ優しい攻め”という鉄板ネタで、純情な不良は抵抗も忘れてトロトロに……。生徒会長の二重人格ぶりも見物でした! 2位 『是―ZE―』志水ゆき <読んでみた>ワケあり美形がひしめく屋敷を舞台に、無愛想な美少年・紺に一目惚れした雷蔵。“カミサマ”という特殊な存在が出てくるけど、舞台は現代なので読みやすかった。このカミサマと対になる“言霊師”が、とにかくイチャイチャちゅっちゅしてばっかり! 数組出てくるので、お気に入りのカップルを見つけて楽しむと何倍も楽しめそう。 BL3位 『SEX PISTOLS』寿たらこ <読んでみた>人間には「人類」と「斑類」の2種類がいて、斑類は男同士でも妊娠する! 「俺がお前を孕ませる」…妊娠するBLって画期的。12頭身ぐらいの肉体美ボーイズが、いろんなカップリングで愛し合って、眼福ものでした。 4位『セクハラブラザーズ』魚ともみ 5位『生徒会長に忠告』門地かおり 6位『ファインダーシリーズ』やまねあやの 7位『君が妖は』木風巽 8位『はらませないで!』紙屋メモ 9位『愛と欲望は学園で』梅沢はな 10位『犬恋シリーズ』夏水りつ <TEXT/女子SPA!編集部>
女子SPA!編集部
大人女性のホンネに向き合う!をモットーに日々奮闘しています。メンバーはコチラ。twitter:@joshispa、Instagram:@joshispa
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