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そのサケ、どこ産?輸入シーフード“産地ブランド”の意外な事実

 スーパーやネット通販で、日本中、世界中のさまざまな食材が買えるようになった現在。楽しい反面、知識がないと何を選べばいいか迷ってしまいますよね。

 特に、私たちって魚の産地について実はよく知らないんじゃないか、とふと気がついたのです。肉だと「松坂牛」「さつま黒豚」などと産地が書かれていると心が躍ります。でも魚は、とりあえず安くて新鮮そうなのを買っておこう……と、ぼんやりと買い物をしていました。

チリ、ノルウェー、アメリカ……サケの違いとは?



鮭定食 特にわからないのが、輸入シーフード。日本で流通する魚介類の4割は輸入モノなのに、産地のことをほとんど知りません。どこで獲れた魚が「高品質=ブランド」なのでしょうか?

 そこで日本の食卓になじみの深い「サケ」に的を絞ってリサーチ。すると、国内で流通しているサケ・マス類は72%もが輸入で、チリ産(輸入の66%)、ノルウェー産、ロシア産が輸入量ベスト3でした(平成24年、財務省通関統計ほか)。

 そんななか、見慣れないアメリカ産を発見! 値段はというと、チリ産やノルウェー産と比べて、国産やアメリカ産のサケは1.5~2倍の価格。国産はともかく、アメリカ産の食材ってブランド力があるとは思えないのだけれど……。

 さらに調べると、アメリカ産と書かれているシーフードは、アラスカ州で獲れたものが多いとか。世界有数の漁業大国・アメリカから輸入したシーフードのうち、約66%はアラスカ産だそうです。

 そこで、アラスカシーフードマーケティング協会に話を聞いてみることにしました。

初耳!アラスカ産の魚は100%天然だって



サケ,サーモン

アラスカ産サーモン

 ここで私は、驚きの事実を知ることとなります。

「実は、アラスカ産の水産物は、日本の食卓と長い付き合いなんですよ。ここ数十年で養殖業が盛んになる前から、アラスカのサケや白身魚は日本の食卓を支えてきました」(アラスカシーフードマーケティング協会・水産資源担当マネジャー・家形晶子さん)

 平成5年まで輸入サケ・マス類の半分以上がアラスカ産だったし、カマボコなど練り物にはアラスカのスケソウダラが使われ、おなじみの明太子・たらこ・数の子もアラスカ産のものがたくさん流通しているとか。

 私たちは、知らず知らずアラスカ産の魚を口にしていたのです。“目からウロコ”!

 では、他国と比べてアラスカ産のサケが割高なのはどうしてでしょう? 

「アラスカは、州の法令で、ひれ魚の養殖が禁止されています。ですから、アラスカ産の魚は100%天然物なんです」(同)

アラスカ さらにアラスカでは、毎年資源調査とそのデータ分析に基づいた漁獲枠を設定して、水産資源が枯渇しないように厳しい管理をしているとか。「サスティナブル(持続可能)」な漁業が義務づけられているため、他国より高価になってしまう場合もあるようです。

「ここ数年でアメリカやヨーロッパでもヘルシー志向が高まって、シーフードの需要が増えてきました。天然物であるアラスカ産のシーフードが注目を浴びて、ブランドバリューが高くなってきています。
少し前までは日本向けの輸出が圧倒的に多かったのですが、残念ながら最近は日本勢が“買い負け”する状況も増えてきています」(同)

 欧米では、アラスカ産がブランド・シーフードとして認知されているようです。

天然物って美味しいの? 知っておきたい漁業ウラ話



 とはいえ、肝心の味に大きな違いはあるのでしょうか。水産物関係者に、ウラ話を聞いてみることに。

「天然魚と養殖魚では、脂ののり方や身の締まり、そして風味もまったく違います。サケの場合は色も違います。あまり知られていないことですが、サケは白身魚なんです。天然のサケは海にいるオキアミなどを食べて、その色素で赤くなります。でも養殖の場合、ほとんどが餌に着色料を混ぜているのです」(水産物関係者Aさん)

 天然のサケ・マス類の赤色はアスタキサンチンという成分で、抗酸化作用が強くて健康やアンチエイジングに良いとされますが、それも天然でないと意味がないわけですね。養殖サケの赤色が着色料に由来するなら、アスタキチンサンは摂れないですから。

 さらに、養殖の漁場には、病気等を防ぐため抗生剤が使われているとも。知れば知るほど、愕然とすることばかり(知ったうえで、割安な養殖でいい、という選択もアリなわけですが……)。

 その点、100%天然物であるアラスカ産はシーフードの高級ブランド、と考えてもよさそうです。甘塩たら・銀たら・カレイ類などはアラスカ産が小売店ですぐ手に入るそうですが、見当たらないものはネットで買うのもテかも。

 私もこれからは、シーフードを買う場合も産地をよーく確認しよう……と思ったのでした。 <TEXT/浦和ツナ子>




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