『死すべき定め』いい医者とは?いい最期とは?全米ベストセラーの素晴らしい一冊
末期ガンの女性が最後にしたこと
その後、ペグは亡くなりました。けれども、自らの意志で「死にゆく者の役割」を果たせたのだと納得できる生だったのではないでしょうか。夫のマーティンは語ります。「親友に別れを告げること、生徒たちに最後のアドバイスをすることが妻にとっては大事だったんです」。
生前、お別れの演奏会を開いたペグ。客席にいたハンターを呼び、形見の音楽書を手渡すと、「あなたは特別よ」と伝えたといいます。
無理に生を引き延ばすのでもなく、安易に死による解放を求めるのでもない選択は、大変に厳しいものだとガワンデは語ります。しかし、そこでなければ交わせない会話や言葉がある。
死にゆく者の尊厳について考えさせられる話でした。
死を無意味なものにしない唯一の方法
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『死すべき定め――死にゆく人に何ができるか』 現役外科医にして「ニューヨーカー」誌のライターである著者が描く、迫真の人間ドラマ。 人生の終盤をよりよくするために奔走した人々のエピソードが圧倒的な取材力と構成力で綴られた本書は、読む者に自らの終末期の選択について多くの問いを投げかけるだろう。 終末期をどう生き、最期の時をどう迎えるのか。私たちは豊かに生きることに精いっぱいで、「豊かに死ぬ」ために必要なことを、こんなにも知らない―。
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