その知的の特別支援学級は家からとても近く、これは好都合だと思っていたのだが、次の段階の面接で、10分ほど息子をみた面接官は、
「息子君は養護学校にいくのをお勧めします」と言ってきたのだ。
あまりに予想外の返事に、胸がざわついた。養護学校。そうか、息子は俗にいう重度の知的障がいに値するのか。
思わず言葉に詰まる私を見て、面接官は気持ちを察してくれたのだろう。
「息子くんは、完全な意思疎通ができていないので、そのレベルにあった生活の自立を促すことが第一だと思うんです。養護学校であれば、ST(言語聴覚士)やOT(作業療法士)もつねにいますし、ジェスチャーなどで意思を伝えるための勉強もしていきます。でも、普通の小学校での特別支援学級はお勉強がメインになるので……」
言っていることはわかる。
もちろん、息子に何がいいかなんて、母親である私はわかりきっている。でも、でも……。
迷う私に、面接官は「一度、両方体験入学をした方がいいですよ」と勧めてくれた。決めるのは、私じゃなくて、息子。息子がのびのびと気持ちよく時間を過ごせる場所に、おいてあげたい。
そして、息子の小学校選びが始まった。
<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>
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【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ、フリーライター。西野カナなどのオフィシャルライターを務める他、さまざまな雑誌で執筆。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘は“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(
@singlemother_ky)
- ママ。80年生まれの松坂世代。フリーライターのシングルマザー。逆境にやたらと強い一家の大黒柱。
- 娘(8歳)。しっかり者でおませな小学2年生。イケメンの判断が非常に厳しい。
- 息子(5歳)。天使の微笑みを武器に持つ天然の人たらし。表出性言語障がいのハンデをものともせず保育園では人気者
※このエッセイは隔週水曜日に配信予定です。