それだけ働いても、ユウコさんの基本給は約16万円。そこから税金や昼の給食代も引かれ、実質13万円ほどしか手元に残らないのです。さらに保育園で着る服も自己負担とのこと。
「子どもと過ごす仕事なので、すぐ服がすりきれてしまいます。泥や嘔吐などで汚れることも多いのですが、支給されるのはエプロンだけなんです。あまりみすぼらしいと保護者への印象も良くないので、かなりのペースで服を買ってますね」
また、ユウコさんの保育園では、保育に必要な備品の購入は、毎月決まった日までに申請するシステム。「画用紙が1枚足りない」「マーカーのインクが切れた」などイレギュラーな事態が起こっても、申請日を過ぎていると翌月まで購入できないというのです。
「備品が足りないと、保育に支障が出てしまいます。
期日を過ぎてしまったら自腹で買うしかないですよね。絵本やパペットなど保育に必要なものでも、園長の許可が下りなければ買ってもらえないので、すべて自費で用意しています」
それらの立て替え金が戻ってくることはないそうです。
短大で借りた奨学金の返済も抱えているというユウコさん。毎月の残高はギリギリで、友だちと遊びに行くことはおろか、ちょっとした趣味を楽しむゆとりさえないと言います。
「残業代はつかないし、ボーナスだって年間で10万円ほど。ひとり暮らしもしたいけれど、実家を離れたら生活できません」
1日のほとんどを仕事に費やしているのに、困窮した生活を送るユウコさん。休憩時間の業務や残業代未払いは労働基準法違反になることを知り、「介護・保育ユニオン」に相談に訪れました。現在、ユニオンを通じて残業代の支払い交渉をおこなっているそうです。
そして、ユウコさんのようなひどい条件で働く保育士は、決して珍しくないのです。
●介護・保育ユニオン
http://kaigohoiku-u.com/
TEL:03-6804-7650
<TEXT/千葉こころ>
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自由とビールとMr.Childrenをこよなく愛するアラフィフライター&編集者。
人生後半戦も夢だけは大きく徒然滑走中