翌日、いつも通っているカフェで原稿を書いていると、となりに見覚えのある女性が座った。どこかで会ったような……と思ったら、昨日知り合ったママではないか!
思い切って話しかけてみると、幼稚園のお迎えまでの息抜きにカフェに来たのだという。知り合った場所が場所なので、思い切って息子の話をしてみると、その方も息子さんのことを話してくれた。身長がまだ4歳程度だということ、意思疎通はできるけど会話ができないこと、愛嬌がよくて誰からも愛されること……などなど、驚くほど共通点が浮かび上がってきた。
さらに、息子さんの療育のひとつとして、コンサートにも連れてってあげることを考えているというのだ。
おや? コンサート?
私の息子は誰もが認める“オタク気質”。サイリウムを振っては叫び、ライブは何よりも楽しんでくれる。それを話すと、互いの殻が破けた感覚があった。いや、本当に“パリン”という音が聴こえた気がするほどに。
彼女はとあるアイドルグループの大ファンで、息子さんと一緒に家ではライブDVDを繰り返し見ているというのだ。しかも、推しのメンバーが出てくると息子さんは大喜びで身体を動かすという。恐るべしアイドル。アイドル万歳!

ここまで共通点を見出した私たちは即座にLINEを交換し、再会を誓った。
すると、その翌日はスーパーで、さらにその翌日は駅のアイス屋さんでまたバッタリと会ったのだ。いくら顔見知りでも、こんなに顔を合わせることはない。驚きながらも、一緒にご飯を食べる約束をした。
言葉を持たない障がいの息子を持つママと知り合え、本当に心強い気持ちでいっぱいだった。彼女はシングルマザーではないけれど、それ以外の共通点があまりにも多かった。
類は友を呼ぶ。このことを身に染みて実感できた出会いだった。これも、息子のことをオープンに話したからこそつながった縁。どんなこともネガティブに考えるのではなく、ポジティブに考えるだけで、こんなにも素晴らしい出会いに恵まれることを体感したのだった。
<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>
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【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ、フリーライター。西野カナなどのオフィシャルライターを務める他、さまざまな雑誌で執筆。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘は“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(
@singlemother_ky)

- ママ。80年生まれの松坂世代。フリーライターのシングルマザー。逆境にやたらと強い一家の大黒柱。

- 娘(8歳)。しっかり者でおませな小学2年生。イケメンの判断が非常に厳しい。

- 息子(5歳)。天使の微笑みを武器に持つ天然の人たらし。表出性言語障がいのハンデをものともせず保育園では人気者
※このエッセイは隔週水曜日に配信予定です。