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『おそ松さん』サントラは大傑作!アニメを見てなくてもうなる音楽の自由さ

 でも、色々なジャンルや手法を取り入れているからといって、とっちらかっているわけではありません。バラエティに富みながら、演奏の質には統一感があるのですね。  それは、「シェーWAVE ED」(1枚目 トラック6)によくあらわれているところ。ほとんどイージーリスニングのようなジャズなのですが、この処理の仕方に、凛としたユーモアが感じられる。アメリカのヒップホップユニット・OutKastの名盤『Speakerboxxx/The Love Below』にある「Love Hater」という曲とセンスが通じ合っているように感じます。
おそ松さん

ピアノソロ用の「おそ松さん」の楽譜も出ている

「ボツになってもいいから無駄に色々作ってみたい」

 そうしたディテールは抜きにしても、このサントラには教えられることがあります。それは、アニメ制作者からの依頼があったからこそ、この音楽的な自由が生まれたという事実。つまり、制約が作曲家を刺激したのではないでしょうか。  アルバムのライナーノーツで、作曲を手掛けた橋本由香利はこう語っています。 「ボツになってもいいから無駄に色々作ってみたい(笑)と思わせるシナリオやコンテからのパワーを常に感じていました」  というわけで、一人の作曲家からここまで豊かな音楽を引き出したアニメ『おそ松さん』のポテンシャルに、今さらながら興味津々なのです。 <TEXT/音楽批評・石黒隆之> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
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おそ松さん オリジナルサウンドトラック

古き良き昭和の時代―。一世を風靡した名作ギャグアニメ『おそ松くん』。それから時は流れ、現代。赤塚不二夫生誕80周年という記念の年に、あの六つ子たちもひそかに成長を遂げて!?帰ってきた!豪華スタッフ&キャスト陣が全力でお届けする問題作『おそ松さん』のオリジナル・サウンドトラック。

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