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「結婚も妊娠も急がないとヤバい」説は脅迫だ【勝部元気】

「エイジズム」という言葉をご存知でしょうか?  日本語では「若さ至上主義」、端的に言えば「若いことは素晴らしく、老いはマイナスである」という考えです。日本は世界と比べてもこの考えが非常に根強く、普通に生活をしていると至るところから「エイジズムプレッシャー」が飛んできます。雑誌から漫画からTVから、職場の人や友人からも感じる人も多いことでしょう。 脅迫

雑誌もウェブも「脅迫ビジネス」だらけ

 一部の男性が「やっぱり若い女に限る」という幼稚な女性観をひけらかすようなレベルの話だけではありません。 「アンチエイジング」という言葉で加齢に抗うのが良いこととされたり、外見が年不相応な人が「美魔女」としてもてはやされるなど、女性の中にも深く内面化してしまっている問題です。  10月上旬、25歳の誕生日を迎えた女性に対して「(アラサーになったから)カワイイという武器はもはやこの手にはない!」と友人が忠告する内容のCMを制作した資生堂「インテグレート」が、エイジズム的な内容だと反感を買い、炎上の後、放送中止に至りました。  確かに雑誌やウェブのコラムを見れば、どこも「●●しなきゃダメ!」「その歳になって●●するのはイタイ!」という「脅迫ビジネス」ばかり。ですが、化粧を通して女性を勇気づけることで業界トップに上り詰めたはずの資生堂までもが、脅迫ビジネスに手を染めてしまったのですから非常に残念だと思います。

結婚相手は早い者勝ちではない

 エイジズムプレッシャーは美容に限った話ではありません。誰もが感じる代表例が、結婚でしょう。近年は、国や自治体のような公的な場でも、その傾向がにわかに出てきているように感じています。  たとえば、今月から「結婚の希望を叶える環境整備」を目的とした内閣府の検討会が開催されています。  検討会メンバーの一人でもある天野馨南子氏(ニッセイ基礎研究所)は、「アラサーになって突然焦り出す人が多いが、その頃には選べる相手は半減している」と指摘し、早く結婚することの重要性を主張したそうです。  周りでも時々いますよね、「早く結婚しないお前らが悪い!」という人。  ですが、25歳未満では、「自分にとってどのような人が結婚相手として相応しいか」がまだ掴めていない人も多いでしょう。早い者勝ち競争を煽ったところで、本人にとって必ずしも良いこととは限りません。  つまり、「結婚を早いうちに」と急かす行為は脅迫ビジネスだと思うのです。
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急いで妊娠しないとヤバい、と言われましても…
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