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伊勢の「赤福」に驚きの進化が…【カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」】

赤福パイセン相変わらずマジこしてますね!

 だがもちろん赤福自体は変わらない。これで「あんこの代わりにガナッシュチョコで餅をくるみました」とかになっていたら誰も買わないし、そんなものは8ptグレーフォントの「AKAFUKU」であり、赤福ではない。  変えるべきところは変え、変わらないところは変わらない、さすが御年300歳の赤福先輩である。  私はその赤福先輩に今回数年ぶりに会ったのだが、一目見て「こしてるな」と思った。  私の後輩力が高かったら「パイセン相変わらずマジこしてますね!」と言うところだ。  前述の通り赤福はこしあんなのだが、そのこしっぷりが変態レベルなのである。何がそこまでさせるのかというぐらいこしており、餅が透けて見えるんじゃないかと思う。  そのぐらいあんこが艶やかなのである。

おはぎにガタガタ言う連中を、赤福先輩が黙らせる

 もちをあんこで包むという逆転の発想スタイルはおはぎと同じであるが、同じスタイルでもおはぎはあまり得意ではない。あんこが粒あんなのは良いが、中身の粒が残った状態のもち米が気になるのだ。  よく考えたら赤福先輩は、おはぎに対し「粒が粒が」とガタガタ抜かす連中を「ここまでやれば文句ないだろう」と黙らせる存在な気もする。  だが気になるのは、赤福がこの個包装版を出し始めたのはいつなのだろう。もしかしたら結構前からこうなっていたのだろうか。それ以前に「最初からこうだった」恐れもある。  だとしたら今まで私が買ってきた赤福はなんだったんだろうか。「ゴリラ用」だったのかもしれない。 <文・イラスト/カレー沢薫> 【カレー沢薫(かれーざわ・かおる)】 1982年生まれ。OL兼漫画家・コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。自身2作目となる『アンモラル・カスタマイズZ』は、第17回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出。主な漫画作品に、『ヤリへん』『やわらかい。課長 起田総司』『ねこもくわない』『ナゾ野菜』、コラム集に『負ける技術』『もっと負ける技術 カレー沢薫の日常と退廃』『ブスの本懐』などがある。
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