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なぜ男は風俗に行くのか。漫画家・鳥飼茜が考える

受け入れがたいことほど、共感できる部分を見つけたい

鳥飼茜さん_3――「ロマンス暴風域」のサトミンも、正規教員の仕事にはありつけず、婚活パーティーでもスペックで除外され、社会から弾かれた感覚を持っている男性です。そういう男の生きづらさを描いてみようと……? 鳥飼:風俗にのめり込む男性の中にも、共感できる気持ちを見つけたいと思ったんです。個人的には、自分の彼氏や父親が風俗に通っていたら、正直受け入れられない。でも、自分の本音はひとまず置いといて、一旦そっち側の気持ちに寄り添ってみようって。 ――いろんな考えの人に寛容でありたいとか、そういうことですか? 鳥飼:いや、偏見をなくしたいとか、寛容さをアピールしたいとかじゃなくて。私自身は、風俗行く人にはまったく不寛容ですから(笑)。でも、私は漫画を描くことを通じて、“自分が受け入れがたいことの中に、どこまで共感できる部分を見つけられるか”というのを、いつもどこかで試したいんだと思います。たとえば、『先生の白い嘘』に早藤という登場人物が出てくるんですけど。 ――早藤は、処女ばかりを狙ってレイプし、自分の婚約者の友だちにも手を出すキャラクターですね。 鳥飼:彼は、私にとって一番イヤだし一番怖い存在なんだけど、そういうヤツの中にも、どこか自分が寄り添える部分が絶対あると思って描いているんですよ。なんでそんなことしたいのか、自分でもよくわかんないんですけど。風俗に通う男性についても、それに近いことをもう少しマイルドにできないかなと思ったんです。 ====  ここまで、男性の生きづらさと「風俗」というものへの見方の変化を語ってくれた鳥飼さん。なぜ「受け入れられない」ことの中にさえ共感を探そうとするのか、次回その挑戦的な試みの奥底にあるものにさらに迫りたいと思います。 【鳥飼茜 プロフィール】 ’81年、大阪府生まれ。’04年デビュー。主な作品に『おんなのいえ』、『先生の白い噓』(ともに講談社)、『地獄のガールフレンド』(祥伝社)ほか。’16年10月より『週刊SPA!』で「ロマンス暴風域」を連載中。 <TEXT/福田フクスケ PHOTO/スギゾー。>
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