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「夫はいらない、子供が欲しい」という自分の闇に気づいて泣いた【シングルマザー妊活】

いきなりの「なんで離婚したの?」にたじろぎつつ……

バー 前回は友達がいたこともあり、お互いの話はあまりしませんでしたが、今回はうって変わって込み入った話をしたがるゴリラ君。  挨拶も早々に突然、「なんで離婚したのか聞いてもいい?」と言い出す始末。突拍子もない質問に驚きつつも、お互いの恋愛観や結婚観などを話している中で、私が一言。 私「もし、私の事を好きだと言ってくれる人がいたとしても、子供のいる私と、子供のいない私だったら、できれば子供がいない方いいって言うに決まってる。今までもそう言うと、“ぐうの音も出ません”て言われてきたから」  するとゴリラ君、一呼吸置いてこんなことを言い出しました。 ゴ「僕は、子供の居ない志乃ちゃんだったら好きになっていないと思う」  目を丸くする私をよそに、彼はこう続けます。 ゴ「女性は子供を産むと強くたくましくなるし、人として成長して性格は丸くなる。子供を産む前の志乃ちゃんを知らないけど、今の子供がいる志乃ちゃんを僕は好きになったんだ」

まっすぐな言葉に、思わず涙がこぼれる

……なんなのこの人!? まるで脳天を打ち抜かれたような衝撃でした。  「子供がいる私」を好きになれないのは、男性ではなく私自身だったじゃないかという事に気付かされた瞬間でした。私自身が「シングルマザー」という立場を卑屈に感じ、自分に自信が無かったせいで、好意を寄せてくれる男性と向き合う事ができなかったのです。  そもそもなぜ妊活をしているかって、子供という名の絶対的な家族が欲しいからであって、じゃあなんで子供が欲しいかって言うと……なんで旦那はいらないかって言うと……と頭の中で自分の闇を掘り下げていくと、不思議と涙がこぼれてきました。 涙ゴ「え? え? ごめん!! 大丈夫?」  慌てるゴリラ君を見て、私は今まで何をムキになっていたんだろうと、肩の力が抜けていくのが分かりました。頑なに「恋愛はしない!」「旦那は要らない!」と言っていた自分がアホらしく思えてきて、そんなことは本当は重要ではないんだと気づいたのです。  シングルマザーだってゴリラ君のように「お母さんのあなたがいい」と言ってくれる人もいる。彼の一言で、独身の時のような恋愛はできないけど、シングルマザーにはシングルマザーの恋愛の仕方があるんじゃないかと思えるようになりました。ゴリラ君ありがとう!!  とはいえ、産まれてきた子がゴリラだったら……と考えると、どうしても先に進めないので、ゴリラ君とは良い友達でいようと心に決めたのでした。 <TEXT/杉沢志乃> 【杉沢志乃(すぎさわしの)】 35歳。東京生まれ。ナンバーワンホステス時代に独学で行政書士試験に合格。25歳で小説『キャバクラ嬢行政書士の事件簿』(ゴマブックス)を出版し、翌年『キャバギョ!』でDVD化。以後シリーズ3まで出版。映像メーカー広報部を経て、現在は女性向け映像メーカー「ラ・コビルナ」の代表取締役社長となる
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