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“猫に救われた男”が相棒の猫と来日。映画になった彼の数奇な運命とは?

「奇跡体験! アンビリバボー」(フジテレビ系)でも取り上げられたハイタッチをする猫、ボブをご存知でしょうか?

ボブとジェームズ・ボーエンさん

ボブとジェームズ・ボーエンさん

 野良猫ボブを拾ったホームレスのジェームズがボブとの路上生活をしたためた自伝小説『ボブという名のストリート・キャット』は、2012年にイギリスで出版されて以来、世界中で500万部も売れる大ベストセラーになりました。

 続編や子供向けの本も出版され(日本では続編『ボブがくれた世界』まで発売)、そしてとうとう『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(8月26日公開)として映画化。ほとんどのシーンを本物のボブが演じたというから見ものです。


 去る8月2日に開催された本作のジャパンプレミアに来日した、ボブとジェームズ・ボーエン。原作も映画も、単なる心温まるサクセス・ストーリーではなく、私たちに“愛の在り方”について考えさせてくれる感動作です。

 そんなジェームズさん(とボブ)に撮影秘話、そしてボブとの出会いで一変した彼の生活について聞きました。

ボブとジェームズさん

ボブはマジカルなソウルメイト



――ボブ、日本はどうですか?

ボブ:zzz(ソファで眠そうにまどろみ中)

長旅でお疲れのボブ。手土産にも興味示さず

ジェームズ:ちょっと今は眠いみたいだけど、もちろん、ボブは東京で最高級のホテルに滞在して、美味しい日本のキャットフードも堪能して大満足だよ(笑)。僕も12歳ぐらいのときからずっと日本に来たかったから、今回、日本での素晴らしい旅を目一杯楽しんでいます。

――わぁ、猫の肉球のタトゥーをしているんですね!

ジェームズ:あぁ、これはね(と自身の手首に彫られた猫の肉球のタトゥーを見せながら)、僕の1冊目の本が出版された日が、たまたま僕の誕生日である3月15日と重なったんです。その本が76週間にわたってベストセラー1位になって、今や40ヶ国語以上の言語に翻訳されるなんて夢にも思わなかった。ボブは僕のマジカルなソウルメイト。ボブと僕の記念のタトゥーなんです。

二人の絆の証

2012年3月15日の日付とともに、肉球のマークが彫られています。二人の絆の証ですね

――ジェームズさんはバスキング(路上で演奏すること)を“生活の糧”としていましたが、ロンドンではそれで食べているストリートミュージシャンは多いそうですね。日本ではお金のためというよりも、“人々に聞いてもらうため”にやっている人が多いので、意外でした。

ジェームズ:バスキングは、殆どの人にとって本当に“最後の手段”なんです。ロンドンのコヴェント・ガーデンには大道芸人がパフォーマンスするときもあって、彼らは結構稼いでいたりする。でも毎日8時間、路上でバスキングをしている人は生きるためにしているんです。

「音楽を気に入ってもらえれば、小銭を払ってくれるかもしれない」という期待に望みをかけて、どんな天候の日でも1日何時間も路上で演奏するのは、とても過酷な生活でした。

『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』より

『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』より

ボブのおかげで人と交流できるようになった



――ボブと出会う前は、どんな生活を送っていたのですか?

ジェームズ:ボブに会う前は僕は自己中心的で、ヘロイン中毒から抜け出すためにメタドンの薬物治療を受けていたけれど、一進一退を繰り返して治療は全く進んでいませんでした。毎日薬をもらいに行って、それからバスキングをして、ちょっとビールを飲んで暇つぶしにテレビを見る……そんな、希望も目的もない日々。

 でも、ボブに出会ってからは、彼の愛が僕に責任感をもたせてくれた。ボブを養うためには僕自身がきちんとしなければいけない。不思議なことにボブといつも一緒にいるようになって、他人が僕と交流してくれるようになった。それ以来、僕も人に対してもっとオープンになれるようになったんです。かなり時間はかかったけどね。

『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』より_2

『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』より

――映画に出演するボブに付き添うため、撮影の全てを見守ったと聞きました。著書に「自分の辛い過去を書くことは難しかった」とありますが、撮影を見ていた時はどんなお気持ちでしたか?

ジェームズ:メタドンはヘロイン中毒を抜けるための薬物治療なんだけど、メタドン自体にも中毒性があるので、メタドンを断つと壮絶な禁断症状が出るんです。(ジェームズを演じた)ルークがメタドンを止めるときのシーンを見るのが一番辛かったな。

 でも、映画『トレインスポッティング』のようにヘロインをスタイリッシュに描いてほしくなかったから、脚本には目を通して僕のすさまじい経験をちゃんと反映してもらったんです。ヘロインを止めるときの苦しみ、痛み、焦り……僕が味わった壮絶な体験は本当に生々しく描かれています。

ボブとジェームズさん_3――ボブは撮影中どんな様子でしたか?

ジェームズ:ボブは撮影所内が好きだったみたい。撮影所内には照明がよくあたって温かいところがあってね。そこにあるテーブルの上に座っていたんだけど、スタッフや役者が忙しく走り回っているのを横目に、ボブは優雅に日向ぼっこを楽しんでました(笑)。

ボブ

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主演俳優は実際にホームレスを体験

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