自分自身を尊重するためには、他人に越えさせてはいけない、5つの境界線を決めるのが大切。まずは以下の5つの境界線を決めましょう。
・お金:いくらまで人に貸してよいのか
・持ち物:自分の持ち物を人に貸してもよいのか? 誰になら貸してもよいのか? どれくらいの期間貸してもよいのか?
・自分の空間:他人と自分との心理的/肉体的な距離はどの程度までなら許せるか?
・時間:誰とも共有したくない自分だけの時間は?
・感情:人にどう思われても自分の感情を大切にする
以上の境界線は相手によって違うものでもよいとのこと。また、他人に説明すべきものではなく、自分の心のなかだけで決めておくべきものだと言います。そして、自分の成長とともにこれらの境界線をアップデートしていくのが必須だそう。
ステップ2:誰かが境界線を越えたときは「NO」と言う
境界線を誰かが越えたときは、明確に「NO」を伝えなければ相手には伝わりません。
「空気を読む」ことを相手に期待してはダメで、「NO」と伝えるのが自分の責任なのです。「いいえ」「その話はしたくない」「私はそういうことをしたくない」「その話はしたくないから、もうそれ以上聞かないで」といった言葉が適切なのだとか。
また、「NO」と伝えた後にしつこく理由を聞いてくる人もいますが、その理由をいちいち説明する義務はありません。ギルバートソンが提案する「NO」の言い方をみてみましょう。
「私、ベジタリアンなの」
「なぜ?」
「単にベジタリアンだから」
これ以上つっこんでくる人がいたら、
「その話はしたくないから、もうそれ以上聞かないで」と言いましょう。一旦「NO」と伝えた後は、相手がどう思おうと自分の知ったことじゃないと割り切ることが肝心。自分の境界線について説明する義務もないし、誰かに理解してもらう必要もない、ということを心に留めておくこと。
境界線を越えた人に「NO」と言ったあとは、自分の境界線をとにかく守りましょう。15分の遅刻なら許すという時間の境界線があるとします。もし、15分待っても待ち人が来ない場合はそれ以上決して待ってはいけないのです。そして境界線を越えて待ってしまったら、自分が決めたことなのだから相手を恨んではいけません。
自分が
「NO」と言えなかった“無力感”は往々にして“恨み”に発展するとギルバートソンは言います。きちんと「NO」と伝え自分の境界線を守ることが、恨み辛みから自分を守るのです。
誰もがなにかに囚われ、呪縛されているように感じるときがありますよね。でも、なかには自分で変えられるものあります。自分自身の人生を歩むためにも、まずは「NO」と言える自分でありたい――映画『望郷』からそんな思いがこみ上げました。
【参考】
Why Is It Hard to Say “No” and How Can You Get Better At It? – Psychology Today
3 Essential Ways to Protect Your Personal Boundaries – Psychology Today
『望郷』
(C)2017 avex digital Inc.
2017年9月16日(土)新宿武蔵野館ほか 全国拡大上映
<TEXT/此花さくや>
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映画ジャーナリスト、セクシュアリティ・ジャーナリスト、米ACS認定セックス・エデュケーター。手がけた取材にライアン・ゴズリング、ヒュー・ジャックマン、エディ・レッドメイン、ギレルモ・デル・トロ監督、アン・リー監督など多数。セックス・ポジティブな社会を目指してニュースレター「
此花わかのセックスと映画の話」を発信中。墨描きとしても活動中。twitter:
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