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下北沢に住んだら「夢追い系」若者が街中うごめいていてグッタリ…

 皆さんは引越し先ってどうやって決めていますか?  職場への交通の便といった実用性重視で選ぶ人もいれば、好きな街・遊びに行って楽しい街で選ぶ人もいるでしょう。
下北沢駅南口

下北沢駅南口 写真はGoogleストリートビューより

 ただ、飲みに行って楽しい街と、住みやすい街はどうやら別のようで…。

行きつけの飲み屋のある下北沢に引っ越し

 吉木奈美さん(仮名・32歳・書店員)は、マンションの更新の時期になんとなく気分転換したくなり、行きつけの飲み屋があるからという理由で、毎回“住みたい街ランキング”の上位に入る街、下北沢に引っ越しました。 「最初は、可愛いお店も美味しいお店もたくさんあるし、スーパーも充実しているし、服だって靴だって揃うし、美容院も銀行も郵便局もギュッと密集していて凄く便利! この街だけで全ての用事が済ませられて最高!! とテンションが上がっていたのですが…」  すぐに、下北沢との相性の悪さを感じるようになっていきました。 「週1ぐらいで夜に飲みに来ていた時には気がつかなかったのですが、下北沢って小劇場やライブハウスがたくさんあるせいか…夢や希望でいっぱいの若い子達がたくさん居て、その圧が凄いんですよね。  ホント街全体に個性を主張したい人達があふれていて…まぁ、私の性格が悪いせいでそう感じる部分もあるのですが(笑)」

帰り道、自己表現したい若者に引き止められてグッタリ

下北沢 駅前で“お笑いライブやってます! 無料なので観て行って下さい!”と必死に声をかけたり、ライブや、ポエム書きます! など路上で色々やっていて…とにかく引き止められるので、毎日家に帰る道のりだけでグッタリしてしまうんだそう。 「何度か断り切れず、ライブやパフォーマンスを見てあげた事があるのですが…なんていうか美大生が臓物(ぞうもつ)の絵とか描いて、人生悟った気分になっているような…あんな感じなんです。表現している自分に酔っているだけで、お客さんは置いてきぼりなんですよ。  まぁ、もしかしたらこの中にスターの原石が混ざっているのかも知れませんけどね」  ですが、パフォーマンスが終わったときに奈美さんに丁寧にお礼を言う良い子が多く…その度に“全然分かってあげられなくて、ごめんね”と胸を痛めていたのだとか。 「夢に向かって頑張るのは良い事だと思うんですよ? でも、はっきり言って役者やお笑い芸人、バンドで生活出来るぐらい稼げる人なんてほんのひと握りじゃないですか? やみくもに頑張ればいいものでもないし…  何だか色々な人の野心や、いまさら後戻り出来ないという焦燥感など、行き場のない感情が渦巻いている気がして息苦しくなってしまうんです」

下北沢では飲まないようになり、引っ越し先を探し中

本多劇場

小劇場の聖地・本多劇場、ヴィレッジヴァンガードなどサブカルチャースポットが多い 写真はGoogleストリートビューより

 結局、奈美さんは下北沢に帰るのが億劫(おっくう)になってしまい新宿に行きつけの飲み屋を見つけて、終電間際の若者のパフォーマンスタイムが終わった頃に帰るのだとか。 「なので下北沢の行きつけの飲み屋にはほとんど行って無いんですよ…私、何でこの街に引っ越してきちゃったんだろう? という感じです。ホント活気のある楽しい街だとは思うのですが…どうも、私には合わなかったみたいですね」  やはり、街との相性は大事ですよね。奈美さんは、もうすでに引っ越しを考えていて…周りの友人達に“私に合いそうな、住みやすい街は無いか? とリサーチしているそうです。 ―シリーズあの人気の街に住んでみたら… vol.2― <TEXT・イラスト/鈴木詩子> 【鈴木詩子(すずきしいこ)】 漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。
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