一方、幼いころから中学受験に向けて準備をしていたというクスダさん(仮名)親子。お金の準備はもちろん、習い事や塾などにも力を入れ、難易度の高い志望校へ合格しました。
「小さいうちから、日常の会話でも中学受験の話をしてきたからか、本人も当然のように考えていました。小学校3年生くらいのときに一度『勉強より遊びたい』と反抗したことがありましたが、その時期以外は目標校に向けて努力していましたね」
連日の塾通いも家での勉強も、弱音ひとつ吐くことなくひたむきに取り組んでいたという娘さん。ところが、みごと合格して難関中学へ通いはじめてから変化がみられるようになったのだとか。
「受験勉強の反動なのか、友だちの影響なのか、遊んでばっかり。入学当初は上位だった成績も、どんどん下がってきているんです……」

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学校帰りに寄り道することが増え、帰宅後もスマートフォンを離さず、「勉強よりも友だちが大事」との言葉をよく口にするようにもなったそう。休日はオシャレをして出かけることも多く、クスダさんは気が気ではないと言います。
「高校受験の必要がない一貫校だから、全体的に気迫がないのは感じます。でも、それなりの学力を必要とする学校なので、きちんとやっている子は多いと聞きます。娘の今後が心配です」
中学受験自体が目標となってしまったことで、達成した今、次なる目標もなく解放感に浸っている様子の娘さん。
「今思うと、なんでこの中学校に入りたいか、入って何を学びたいのか、将来へどう活かしたいのかなど、娘の考えを聞いたことがなかったような気がします」とクスダさん。
この言葉が、“中学受験はゴールではなく、子どもの人生の通過点”ということを改めて感じました。
<TEXT/千葉こころ>
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自由とビールとMr.Childrenをこよなく愛するアラフィフライター&編集者。
人生後半戦も夢だけは大きく徒然滑走中