今ではBさんはADHDの特性を理解して、それを日常生活に活かそうという意識を持っています。
「ADHDの症状が落ち着くと、その特性が良い面で発揮されてきます。多動性が『どんな相手にも積極的に話しかけられる』という長所となって現れたりします。自分の長所を意識できるようになると、将来の夢や目標が見えてくるのです」(宮尾医師)
現在、デザインの仕事をしているBさんは、もう少し仕事を増やして、お金を稼ぎたいという目標が見えてきたといいます。
「今までは仕事を増やすと、納期が守れないかもと不安になっていましたが、今ではスケジュール帳に今日やるべきことを全部書いて、一個ずつToDoリストも書いています。
誰もが実行している事かもしれませんが、結構細かく書いたりして、いろいろなところに気が散らないよう、やることを決めるという作業をしていますね。自信をもう少しつけて、仕事を頑張って、お金を稼ぎたいですね」

Bさんは悩みが完全になくなったわけではないようですが、今では本人、家族、友達もADHDの特性をネガティヴには捉えていないようです。「
ちょっとおっちょこちょいだけど、愛嬌のある女性」だと思われるくらいに、精神的に安定してきているのです。
Bさんのように、働いてからADHDの診断を受け、自己理解を深めていけば、少しの悩みは抱えてはいても、自分なりの生き方を見い出すことができるのです。また落ち込む時期がくるかもしれませんが、家族、知人、医師のサポートを受けることによって、ADHDの症状の改善が可能になるのです。
自信を持って仕事を進めていきたいという前向きな気持ちが、Bさんの言葉からは感じ取れました。
男性とは異なる特性がある女性のADHDですが、適切な診察、治療を受ければ悩みを解決できるケースがあるので、こういったことで悩んでいたり、症状に心当たりがある方は一度、医療機関に問い合わせてみるのも良いかもしれません。
第3回目の次回は、女性のアスペルガーの症状を取り上げます。
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知られざる「女性の発達障害」 vol.2ー
<TEXT/ジャーナリスト・草薙厚子>