
しかもその日を境に、店長のアヤナさんに対する対応は以前にもまして厳しくなったそうです。
「講義の時間割を提出させられ、かなりタイトなスケジュールで勝手にシフトを入れられました。
『この日は入れない』と伝えると、『仕事を何だと思っているんだ!』と怒られ、体調を崩しても『嘘だろ。診断書を持ってこないと認めない』と。挙句、時給も大幅に下げられました」
耐えきれなくなったアヤナさんは退職を申し出るも受け入れてもらえず、やむなく無断欠勤の形で辞めることに。バイトを始めて3か月足らずのことでした。
「最後の2か月はバイト代も支払われませんでした。それでもいいと思えるくらい、とにかく辞めたかったんです」
とはいえ、引っかかっていたのはマリさんのこと。自分が辞めてしまった以上、もうどうしてあげることもできないと思い悩んでいましたが、なにげなくその話をした友人から「それはブラックだよ。本社へ言ったほうがいい」とのアドバイスをもらいます。
アヤナさんはさっそく行動に移し、社員のセクハラや、それを訴えたことで自分が受けた被害をすべて伝えました。そのかいあって、早急に対応してくれたそうです。

「店長とホシノさんは降格扱いで、お店から本社勤務へ異動になったそうです。未払いだったバイト代も、本来の時給換算で振り込まれました。初めてのアルバイトでどうすればいいかわからず、イヤな思いもしたし時間もかかってしまったけれど、いい勉強になりました」
その後もマリさんと会う機会はなかったそうですが、本社から、「社員が変わってからは明るくなり、新人アルバイトの教育係として頑張っている」との話を聞いて、胸をなでおろしたそうです。
アルバイト・準社員など、正社員に較べて立場の弱い人々に対して、卑怯な社員が、自分の立場を利用したり、「バイトから社員になりたい」という気持ちにつけこんで、セクハラ・パワハラを行うひどい事が今日も数多く起き続けています。
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私達の身近な「セクハラ」 vol.6―
<TEXT/千葉こころ イラスト/鈴木詩子>
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自由とビールとMr.Childrenをこよなく愛するアラフィフライター&編集者。
人生後半戦も夢だけは大きく徒然滑走中