まるで「エクソシスト」のような症状…謎の脳の病と闘った女性にインタビュー
“謎の病”で苦しむ人を、一人でも多く救いたい
――本のなかで、抗NMDA受容体脳炎の再発率は25%だと書かれていますよね。
スザンナ:その再発率は毎年下がっていて、いまは13%ほどだと聞いています。再発率が下がっている理由は、毎年より多くの人々が抗NMDA受容体脳炎と診断されて、より早めの治療がされているからなんです。ということは、再発率は今後も下がっていくんじゃないでしょうか。そうはいっても、回復した直後はなにかが起きるたびに再発を心配していました。
でも、時が経つにつれ、あの闘病経験がまるで他人の経験のような気分になってくるんですよね。再発してもすぐに対処できるような態勢を整えていますが、再発のことはあまり考えないようにしています。再発の恐れに自分の人生を左右されたくないから。
――本の中で、サバイバーズ・ギルト(戦争、災害、難病から奇跡的に生き延びた人が、自分だけが助かったことに罪悪感を感じること)について語っていますよね。スザンナさんもそれを感じているのでしょうか。
スザンナ:はい、罪悪感はあります。本を出してから、「あなたのような治療を受けたにもかかわらず、私の子供は回復せずに、死んでしまった」というメッセージをもらったこともありますし。「なぜ、私がこの病気にかかったのか」「なぜ、私は治ったのか」という疑問は、これからも頭を離れることはないでしょう。でも、だからこそ私は、抗NMDA受容体脳炎の啓蒙活動を生涯続けることで、この罪悪感と向き合っていきたいと思っています。
『彼女が目覚めるその日まで』は12/16(土)より角川シネマ有楽町他全国ロードショー
配給:KADOKAWA
(C)2016 ON FIRE PRODUCTIONS INC.
<TEXT/此花さくや PHOTO/山川修一>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】此花わか
ジェンダー・社会・文化を取材し、英語と日本語で発信するジャーナリスト。ヒュー・ジャックマンや山崎直子氏など、ハリウッドスターから宇宙飛行士まで様々な方面で活躍する人々のインタビューを手掛ける。X(旧twitter):@sakuya_kono
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