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これって本当?映画『否定と肯定』に学ぶ、フェイクニュースの見分け方

3. 一次情報を正しく伝えているか?
『否定と肯定』より_4

『否定と肯定』より

 ドイツ語にも堪能なアーヴィングはナチスの文書を自分で読み込み翻訳しました。歴史学者が学説を立てるためには、当時の公的文書、新聞記事、当事者の日記などの一次情報を正しく解釈することが必要不可欠です。それでも、アーヴィングはあえて誤訳することによってその解釈を捻じ曲げたのです。  歴史的な事柄に限らず、荒唐無稽なニュースが目に飛び込んできたとき、それをそのまま鵜呑みにするのではなく、そのニュースが一次情報を正しく伝えているか確認することが必要です(とはいえ、一次情報が外国語の場合は難しいですが……)。 ===== 「ソーシャルメディアが様々な恩恵をもたらしながらも同時に招いてしまった事態があります。“事実”、それも客観的な既成事実と“嘘”との違いがなくなり同列になってしまったのです」  これは、リップシュタット教授が先のレクチャーで語った言葉です。映画『否定と肯定』は現代の情報社会において、史実を伝えていくことの大切さを私たちに問いかけます。SNSに日々さまざまな情報が溢れるいまだからこそ観ておきたい、秀逸な作品です。
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『否定と肯定』より

【参考】 ホロコースト否定説の嘘に潜むもくろみ – デボラ・リップシュタット at TEDxSkoll 映画『否定と肯定』は12月8日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ 他全国ロードショー 配給:ツイン (C)DENIAL FILM, LLC AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2016 <TEXT/此花さくや> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
此花わか
ジェンダー・社会・文化を取材し、英語と日本語で発信するジャーナリスト。ヒュー・ジャックマンや山崎直子氏など、ハリウッドスターから宇宙飛行士まで様々な方面で活躍する人々のインタビューを手掛ける。X(旧twitter):@sakuya_kono
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