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我が子が発達障害だったら…ピアニスト野田あすかさんと両親の35年

今がつらくても「いいことがあるって、信じてほしい」

 実はあすかさん、かなり敏感な感覚の持ち主で、身近なスタッフに対しては、足音だけでも誰が近づいてきたのかわかるといいます。それと嗅覚にもものすごく敏感で、雨が降ってくる時なんかは「雨の匂いがするよ」と言い、そうすると必ずしばらくして雨が降ってくるそうです。  あすかさんは「コンサートにきてくれる人の気持ちがよくなってくれればいい」という、とても純粋な気持ちがあります。気持ちが安定することによって「人を幸せにしたい」という想いが強くなっていったそうです。 「私は発達障害だとわからないまま育ててもらって、苦しいことがいっぱいあったけど、でもそうやって育ててもらえたから、今みんなに幸せを届けられるのだと思います。  アドバイスじゃないけれど、今どんな感じでも『何かいいことがあるって、みんなに信じてほしい』って思っていつもピアノ弾いています。たくさんの人が私のピアノを聴いて、終わった後ニコニコしてくれると嬉しいです」(あすかさん)

人のための音楽がしたい

 そしてこれからの目標は? 「目標は今までにたくさんの人が手伝ってくれてきているから、その人たちがほっとしてくれるような音楽がしたい。人のための音楽がしたいです。  例えば2020年東京パラリンピックとか、オリンピックとかで選手のみんなが『頑張ろう』って思ってくれるような曲を作りたい。音楽だと多くの人にそれが伝えられるから。  目標は大きいですが、まず今はお父さんとかお母さんとか、スタッフのみんなが幸せになってほしいです」(あすかさん) 心がホッとするCDブック 自分が発達障害であるということがわからずに辛い時もあったけれど、ピアノを続けることによって、幸せな今があるという野田あすかさん。2015年にはCD付き書籍『発達障害のピアニストからの手紙』を、昨年には『心がホッとするCDブック』(いずれもアスコム刊)も刊行しました。そして2018年3月21日から始まる全国ツアーを楽しみにしているとの事です。 ―知られざる「女性の発達障害」 vol.6― <TEXT/ジャーナリスト・草薙厚子>
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