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マツコ・デラックスの「ブス発言」から考える、女性にとっての「自然」

 先日、マツコ・デラックスが「5時に夢中!」(12月11日放送)で「最近、街にブスが増えた」「20~10年前はもっと美人がいた」と発言したことが話題になりました。その一因として挙げられたのが、「赤い頬紅をポンポンつけて、だらしない感じのよれた口紅つける、原宿や渋谷でよく見るメイク」でした。
いきなりケタ違いにかわいくなる

番組内で共演者の若林史江が「オルチャンメイク」と指摘しましたが、マツコが言っていたのはこちらのいわゆる「おフェロメイク」な気が/Amazonより

 マツコの発言にはネット上で賛否が上がりましたが、賛同者の中に多く見られたのが「不自然であることはよろしくない」という考えでした。  では、現代の女性にとっての「自然」とはなんなのか。ライターの西森路代さんに考察してもらいました。 ※以下、西森路代さんによる寄稿。

ファッションのナチュラル志向はいつから始まった?

 マツコ・デラックスの「ブスが増えた」発言に対し、一方では「よくいった」という人がいて、一方では反発を覚える人がいた。ファッションでもなんでもそうであるが、新しいスタイルに違和感があることがあるのは否めない。しかし、メイクの手法に望ましいものとそうでないものがあると規定されると、自分のやりたいようにすることがわがままであるような、不自然を強要された気分になる。  自然、ナチュラル……。そんな言葉が頻繁に聞かれるようになったのは、バブルが終わろうとしていた時代。確か、ファッション誌で浅野ゆう子が、ダンガリーシャツやカウチンセーター、アースカラーのロングスカートやウエスタンブーツなどでまとめたファッションを披露していて、そのスタイルがかっこいいということがきっかけだったのではないかと思う。頭の中の記憶で当時のファッションを書き起こしてみたが、後で彼女のファッションブックの表紙画像を見たら、その発行年は1990年。記憶そのままのファッションでびっくりした。鮮明に覚えているということは、それだけ当時、新鮮だったということだ。
『LIGHT MY FIRE―浅野ゆう子スタイルブック』

『LIGHT MY FIRE―浅野ゆう子スタイルブック』/Amazonより

 このとき、なぜナチュラルなファッションが求められたのかと言えば、バブル期の肩パッドの入ったスーツや、彩度の高い色合いの服、ミストでがちがちに固めた髪型、いわゆるワンレン・ボディコンから脱却しようという意図からスタートしたのではないだろうか。がちがちに武装したバブルファッションから、肩ひじのはらない、気楽なモードを求めていて、そんなスタイルを浅野ゆう子が提示したというのはあるだろう。  それから20数年。女性がナチュラル、自然であるということは、当たり前になった。というか、当たり前の抑圧に変わってしまった。
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社会に潜む「自然」の圧力
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