「セクハラされる側も悪い」と言い放つ人事部女性。これが現実なの?
セクハラ被害者はなかなか声を上げづらいのが現状です。そんな中、企業内で起こったセクハラを人事課という立場から対応した女性に話を聞いてみました。
「前職のIT企業の人事課時代に社内のセクハラを目の当たりにしたことがあります。セクハラはするほうが悪いに決まっていますが、されるほうも強い気持ちをもって防備することが必要です」ときっぱり断言するのは、人材研修会社社長の明石美和さん(仮名・34歳)です。
「まずは人事部に『SOSメール』という社員の駆け込み制度を導入していました。匿名でメールができる制度で、人事部の限られたメンバーしか閲覧できないようになっています。そこに新卒入社22歳のメディア開発部の営業女性からセクハラSOSがあったのです。相手は40歳の営業部長でした」
クライアント商談のたびに同行を命じられた新卒女性は、車の中で抱きつかれたり、無理やりキスされることが増えていったそうです。拒むことができず、されるままにしていましたが、とうとう夏休み前にSOSを発信したのだとか。
「すぐに加害者である営業部長と、ウチの人事部長との間で話し合いが行われました。事実確認が取れると、営業部長は懲戒解雇になりそうでしたが、反省していたため自主退社したとのことでした」
営業部長が突然辞めたことで営業部内で動揺があったものの、1か月も経たないうちに、通常の業務に戻っていったそうです。とはいえ、これで「一件落着」とは言えなかったのです。
「女性側にも反省する点があると思います。押しに弱いという空気を作っていたのですからね。加害者に『やめてください』と言えたはずですよ。拒まないから、男性は受け入れていると勘違いする。だから相手をエスカレートさせないことです。『嫌です』とはっきり意思表示をすることが大事ですね」
なんと驚いたことに、被害者の女性も「自分で自分を守れない。弱い」と、明石さんは言うのです。
“押しに弱いという空気”って一体なんなのでしょうか? 40歳の部長と入ったばかりの新入社員の立場を考えれば、“拒まない”ではなく、“拒めない”だと分かりそうなものですが…。
さらに明石さんは「新卒だからと会社から大目に見てもらったかもしれないけど、入社2年以上になると、被害者にとってマイナスになる」と言い放ちます。
「セクハラは声を出さない人がバカを見てしまうんです。でも誰だってセクハラ被害に遭いたくないですよね。だから女性は火の粉が降りかかる前にスキをみせないことです」
“スキがある女性にも問題がある”…こんな考えの人が、今でも多いのにはあきれます。この人事担当者に限らず、表立っては言わないけれど、裏でこういう発言をする人って、女性の中にも少なくないですよね。悲しい現実です…。
商談のたびに抱きつかれてキスを強要
相手をエスカレートさせないためにも

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