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“乳がんヌード”に患者同士のマウンティング…ありのままの乳がん闘病記

 いまから10年前、29歳のとき乳がんを宣告され、5年にわたる「歌舞伎町の道端に横たわるホストよろしく吐しゃ物にまみれた日々」を乗り越えた若年性乳がんサバイバー・松さや香さん。昨秋発売された最新刊『女子と乳がん』では、治療中から治療後の仕事、恋愛、離婚結婚、妊娠までを赤裸々に明かしています。
『女子と乳がん』(扶桑社)

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 乳がんというと昨年亡くなったアナウンサー・小林麻央さんを思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、実際にはそんな「美しい話」にまとまることはあまり聞かないのだそうです。ありのままの若年性乳がんサバイバーの姿を松さんに語ってもらいました。

濡れない。痛い。ハゲる

 がん治療というと、やせ細り壮絶な闘病をイメージする人も多いかもれませんが、実際の闘病はイメージ通りとはいかないそうです。 「私の場合、抗がん剤の副作用で嘔吐にはそうとう苦しんだのですが、それなのに痩せもせず、薬の影響で新陳代謝が低下して太ってしまい、手術後のホルモン治療では、のぼせや性欲減退などの副作用もありました」  まるで更年期のような症状! それに加えて治療のストレス、味覚障害による食事の偏り。薬のせいで顔色はくすみ、体重は増え、抗がん剤治療で髪も抜けてしまう。キラキラしていたいアラサー女子が向き合うにはなかなかに厳しい現実だったようです。 ※写真はイメージです がん治療の実生活について情報を探しても、世にあふれるがん闘病記につづられるのは、けなげな患者のお涙頂戴物語ばかり。松さんは頼りにならない闘病記を投げ捨て、某巨大掲示板や、当時はやり始めたSNSなど、ネットの海に正解を求めるようになりました。  時間があればパソコンの前にへばりつき、抗がん剤による味覚異常でも栄養を摂りやすい食べ物から、ホルモン治療の副作用による性交痛を和らげられるジェルまで、松さんにとって(=がん罹患当事者にとって)「本当に有用な情報」を探りだしたそうです。 「ある程度のリテラシーがあれば、(当時の)インターネットはとても有用な情報源だった」と松さんは振り返ります。

乳がん患者も“インスタ映え”を狙う

 SNSやまとめサイト、キュレーションサイトで情報収集することが当たり前になった昨今、若年性乳がんにかかった女子の間でもSNSは必要不可欠なツールとなりました。特に、母数が少ない若年性乳がんの患者にとっては、数少ない仲間と出会えるツールでもあります。  例えばインスタを「#乳がん」「#若年性乳がん」で検索すると、自分の病状や治療の様子、うれしかった差し入れなど、乳がん女子ならではの“インスタ映え”写真がずらりと並びます。 ※写真はイメージです 中には、抗がん剤で抜け落ちた髪や点滴の様子など、痛々しさすら感じる画像も。また、勢い余ってセルフヌードに近い画像を披露してしまう女子もいるのだとか。  ちなみに、SNSにアップしないまでも、「乳がんヌード」を撮影する女子は多く、松さんも「うっかり撮ってしまった」そうです。「メスを入れる前の乳房を残しておきたい!」と人生最大の(?)黒歴史・乳がんヌード写真撮影を爆誕させてしまったそうですが、あとで「所詮素人のヌードは赤面ものでしかない」と我に返り、当該写真は焼却処理済みとか。
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乳がん女子の「劣等感プロレス」がスゴい
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女子と乳がん

乳がん治療は、ハゲる、太る、性欲ゼロになる。そして彼氏や夫は重荷に耐えかね浮気をし、金は湯水のように出て行く。それが現実。若年性乳がん罹患当事者たちが赤裸々に語る、治療中から治療後のお金、恋愛・結婚・妊娠、そして仕事の話。

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