縁切りは人だけに留まりません。意外な盲点が「空間」だそうです。
「長年そこで過ごすうちに、あなたの人格に空間の意識が侵食してきちゃってたら、どうする?」と本書に問われ、私はブラック企業に勤務していた過去を思い出しました。当時は生活のためにしかたなく働いていましたが、明らかに人相が悪かったです。

恐いのは、空間に慣れ過ぎて、あたりまえの意識が植え付けられること。「空間については一度きちんと見直す必要がある」と本書が忠告するように、人は環境に左右されてしまうのです。
あなたの生活が淀んでいるのはあなたのせいではなく、空間のせいかもしれません。
以上、外側に対する縁切りをご紹介しました。最後に少しだけ内側の縁切り、つまり自分自身との縁切りについてのエッセンスを紹介しましょう。
これは「変化を邪魔する意識とのズバッと縁切り」で、「変化したい自分としたくない自分が無意識下で綱引きしている」状態からの脱却のススメ。これも先に述べたように自分の本音がクリアになれば、何らかの解決策が見出せそうですが…「そうは言っても」と結局、悩んだり考えたりしてしまう。だったら「
『考えすぎ』と、ズバッと縁切りして」と本書。考え込んでしまう前にまず一歩、いいえ0.1歩でも行動すれば変化が起こるのです。悩んで考えているのは、変わりたい証拠ですよね。
本書は、最初のページからパラパラするもよし、適当にパラパラして目についた文章とイラストを心に焼きつけてもよし。
明日からきっと、目の前の景色がみずみずしくなりますよ。
<TEXT/森美樹>
⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】森美樹
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『
主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『
母親病』(新潮社)、『
神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。
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