――本作は、アメリカで概ね高い評価を得る中、原作からの変更点など批判的な意見もありました。今のアメリカは、過剰反応に近い政治的正確さを求める風潮がありますよね?

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ソフィア:正直、アーティストにとっては、非常にツラい状況、ツラい時代だと思います。今回受けた多くの批判は、南北戦争を背景にしながら、奴隷制度について全く触れないのはどうしたことか、というものでした。でも、本作の中でそれを描いてしまうと別の映画になってしまう。私は必要ないと判断しましたが、政治的に正しくないと批判されたわけです。
インターネットの台頭でみんなが簡単に批判できるようになったのは、とても危険なこと。それによってアーティストが表現を制限されてしまうのは、非常に危険な状況だと感じています。
――ところで、かねてより日本大好きを公言されていますが、日本の何をそんなに気に入ってくれているのですか?
ソフィア:なぜかと聞かれても…(笑)。初めて日本を訪れたのは、7歳のクリスマスでの家族旅行。“モンチッチ”がすごく可愛くて気に入って(笑)! 誰しもなぜか居心地がよくて、特別な繋がりを感じる国ってないかしら? 私にはそれが日本とフランスなのです。2国には共通点も多々あると思いますよ。
日本は、私が大好きな伝統的エレガンスと、とてもポップで、モダンでキュートな、2つの異なる文化が洗練されて際立っています。私が20代の頃、日本はガーリーカルチャーがとても盛んで、まだアメリカでは全く始まっていなかったので、それに興味を持ったというのもありますね。

ソフィア・コッポラ
<取材・文/折田千鶴子 撮影/ホンマタカシ>