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食べて吐くために万引きする女性たち…節約やストレスも”窃盗癖”のきっかけに

 マラソンの元日本代表である原裕美子被告が、群馬県内のスーパーで菓子など(計 382円)を万引きしたとして、3月2日に起訴されました。 万引きをする女性 原被告は昨年8月にも万引きで起訴されており、同年11月に懲役1年、執行猶予3年の判決を受けていたため、今回は執行猶予中の再犯ということになります。  報道によると、原容疑者は現役時代から摂食障害を患っており、摂食障害と窃盗癖の治療のため昨年末まで入院していました(3月6日付のサンスポの記事より)。

摂食障害を患う女性は万引きに陥りやすい

 専門家のあいだでは、万引きは摂食障害に伴う周辺症状の一つとして認識されています。 「摂食障害は、重症化すると反復的な万引き行動に繋がりやすいと言われています。特に女性は摂食障害発症後、万引きへと移行するケースが多く、過食嘔吐するために食品を盗むというサイクルに陥りやすいんです」  そう語るのは、大森榎本クリニックでクレプトマニア(窃盗癖)専門外来でプログラム・ディレクターを務める精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さん。 「買ったものを食べ吐きしていては金銭的に続かなくなることから、コンビニやスーパーなどで万引きしそれを過食した後にトイレで嘔吐するようになります。  ある女性は、過食嘔吐するために万引きした食品を『エサ』と呼び、どうせ吐くのだから腐っていてもカビが生えていても同じということで、自宅に盗品をためこんでいました。夏場は自宅内にコバエやうじ虫がわき放題で、その中で過食嘔吐するという、まるで地獄絵図のような光景でした。  この盗品をためこむのは『ためこみマインド』といって、摂食障害のある窃盗癖の特徴の一つです」(斉藤さん、以下同じ)

摂食障害の患者の9割は女性

摂食障害の患者の9割は女性 摂食障害は患者の9割を女性が占める病気(厚労省の調査より)。若い女性がダイエットをする中で陥るケースが多い他、責任感が強く勤勉なタイプや、子ども時代から親子関係の中で愛された記憶がなく、虐待されて育った人もなりやすいそう。 「自己評価が低く、誰にも悩みを相談できない結果、その真面目さゆえに悩みを抱え込んでしまうんです。過食嘔吐をしているときはつらいことを忘れたり、悩みを一旦棚上げにできる。  摂食障害は一見、自己破壊的に見えますが、過去のトラウマなどを一時的に回避するために必要な、極めて自己治療的なサバイバル行動でもあるんです」
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クレプトマニアも女性の方がなりやすい
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