別姓の場合、「子供の姓」は各国でそれぞれのルールが
夫婦が別姓にしたら、子供の姓はどうするのかと言っている人もいますね。
「その点様々な法制があります。子どもが生まれるときに都度決める国もあれば、父母の結合氏にしている国、父の氏にしている国もあります。複数の子の氏を統一するところもあれば、統一しないところもあります。
1996年の民法改正案要綱では、婚姻時に別姓を選択した場合、その時点で子の氏を父又は母の氏に統一して選択することになっていました。いずれにせよ、諸国で別姓の父母の子に何か問題があるということもききません。
実際に一方が通称使用している夫婦や事実婚夫婦で子どもがいる方もいますが、家庭内で姓が違うことで困っているという話は聞きません。むしろ他人から『どうしておかあさんと姓が違うの?』と子どもが聞かれるので説明に困る、という声があります。
選択的別姓が認められていないから、違和感を持つ第三者がいるということでしょう。選択的夫婦別姓を認めたら、違和感はなくなっていくはずで、全体としてメリットが大きいんですよ」
多様性=人はそれぞれ違うことを受け入れようという意識が大切なんですね。
「別姓だと家族の絆が薄れる」説は外国人に不思議がられた
日本では、妻が夫の姓に変えることがほとんどで、これは「女は嫁いだら夫の家に入るもの」という考え方に繋がるそうです。「嫁なんだから我慢しろ」「**家の嫁らしく」といった言葉にウンザリしたことがある人も多いでしょう。
自分の姓を使い続けるという小さなことでも、認められれば、差別の解消につながるわけですね。
それじゃなくても日本は男女平等の度合いを示す「ジェンダー・ギャップ指数」で、対象国144カ国のうち114位という惨憺(さんたん)たる順位なのです。
筆者は、オーストラリア人の女性と別姓について話していたときに「日本では別姓にすると家族の絆が薄れるという意見があって、認められていない」と言ったら「なぜ絆が壊れるの?」と聞かれて答えられませんでした。
彼女のご家族は別姓ですが、それで深い絆を気づいているのだから当たり前の質問です。
今回訴訟を起こしたカップルや、運動に賛同している事実婚の議員の方々の話を聞いていると、みなさん夫婦間で様々なことをよく話し合っている印象でした。家族でいちばん大事なのは、相手を尊重して傾聴する姿勢と、言葉を尽くして自分の意志を伝えるスキルではないでしょうか。
そうして他人を認めることで、みんながハッピーに過ごせるーーそれが「選択的夫婦別姓」の本当の意味なのではないでしょうか。
裁判の動きや夫婦別姓の基礎知識は、
「別姓訴訟を支える会」のサイトや
ツイッターで見ることができます。
<TEXT/和久井香菜子>
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