武田恵美さん(仮名・31歳・雑貨屋店員)は同棲中の彼と3泊4日の北海道旅行に行く事になりました。
「ですが、家には飼い始めて1ヶ月の子猫が居て心配なので、彼の父親に『悪いけど旅行中、毎日子猫にエサと水をあげにきてくれない? 出来たらトイレ掃除も…』とお願いしたんですよ」
すると、彼の父親は快く引き受けてくれたんだそう。
「旅先からも何度か父親にLINEで子猫の様子をたずねると『とても元気にしているよ』という返信と写真が送られてきたので安心して旅行を楽しみました。そして、父親へのお土産も買って帰宅してみたら…」
そこには、涙目で子猫を抱く父親が待ち構えていて「大切な話がある…」と切り出されました。
「この子猫は、俺の運命の猫だ…」譲ってくれとゴネる彼パパ
「いきなり『この子(子猫)は、俺の運命の猫だ…この子も俺に飼われる事を望んでいる、だから連れて帰らせてくれ』と言われ…はぁ? って感じでしたね。
“子猫と自分が初めて会った瞬間に電流が走った”とか“一緒に居ると物凄く懐かしい気持ちになる…もしかしたら前世で夫婦だったのかもしれない”とかベラベラ自分勝手な妄想を語り出して…完全に自分の世界に入り込んでいましたね」
彼が「わざわざ父さんが飼わなくても…たまに、うちに遊びにくればいいじゃない?」とたしなめても「嫌だ、ずっと一緒にいたいんだ! この子だってそう言ってる!!」の一点張りで困ったカップルは…。
「結局、根負けして子猫を譲ってあげたんですよ。でもその子猫は、とても人懐こくて誰にでもすぐ慣れる性格で…彼の父親に特別運命を感じているとは思えませんでしたね」
子猫に会おうとしたら「取り返しに来る気だな!」と威嚇
それからしばらくして、武田さんが子猫に会いたくなり彼の父親の家に遊びに行ってもいいかと聞いてみたら「子猫を取り返しに来る気だな! そうはさせるか!」と威嚇されてしまいました。
「それでちょっと引いてしまって…彼と結婚するのは、厳しいかな…と考えちゃいました」
それから武田さんは彼氏とギクシャクしてしまい、同棲解消するかどうか悩んでいるんだそう。
ともかくも、ペットの幸せを1番に考えてあげて欲しいですね。
<TEXT&イラスト 鈴木詩子>
【鈴木詩子(すずきしいこ)】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。