「私の勤めている会社が、
地方の農家が持っている土地のレンタルを始めたんです。そのために私達社員も農業の研修を受けるために地方に行くことが多くなりました」

初めはいやいや行っていたというひかるさんでしたが……「研修に行くうちに農業って楽しいなと思えるようになってきたんです。元々は山梨出身で、小さい頃は祖父母の畑に遊びに行っていたので、懐かしい田舎暮らしを思い出して、徐々に『田舎っていいな』と思うようになってきたんです」
すっかり農業にハマったひかるさんはその後独学で猛勉強し、会社の研修にも積極的に行くようになったそうです。そして
1年後、自ら彼にプロポーズしたひかるさんは、彼の田舎に嫁ぐことになります。
「実際住んでみると、やっぱり私には田舎暮らしのほうが肌に合っていると思いました。今ではアルバイトをしながら彼の実家の余っている土地を借りて、自給自足で野菜を作って生活しています。
島では漁業も盛んで、私の作った野菜と島の人たちのとった海産物とで、物々交換できるくらいにまでなりました。彼もホールスタッフから幹部になり、私が作った野菜を使ったメニューを考案したりして頑張っています。彼のお義母さまも私が嫁いで安心したのか、体調は大分回復してきましたね。姑関係や近所付き合いも良好で、今では私のほうが島に馴染んできていて彼も驚いています(笑)」
思わぬことが、田舎に嫁ぐきっかけとなったひかるさん。彼にすべてを頼らず、自分の楽しみを見つける。そんな前向きな考えが、見知らぬ土地でも幸せな結婚生活を送れる秘訣なのかもしれません。
―「結婚」泣き笑いエピソード vol.1―
<TEXT/結城 イラスト/ワタナベチヒロ>
【結城(ゆうき)】
恋愛ライター。鋭い視点で世の男女を観察し、 夫婦問題からイタい火遊びまで、幅広いエピソードを華麗に紡いでいく。
結城
男女観察ライター。鋭い視点で世の男女を観察し、 夫婦問題からイタい火遊びまで、幅広いエピソードを華麗に紡いでいく。Twitter:
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