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遺骨を海にまく散骨を体験。明るい「船上お別れ会」も

 生涯独身、核家族化etc。死後の旅を他人任せにできない昨今。人生のしめくくりをカジュアルにとらえる人が増えています。

「海洋散骨」もそのひとつ。海洋散骨とは、遺骨を海へまく儀式。比較的安価、お墓を必要としない、といった理由から人気を集めています。もちろん合法(※)。

散骨クルーズの小型船

散骨クルーズの小型船に乗って、約3時間の体験がスタート。

 今回私が参加したのは、ブルーオーシャンセレモニーが主宰する「海洋散骨」の体験クルーズ。実際の儀式を目の前で見ながら、新しい「供養」について考える機会となりました。

※法務省が1991年に「葬送のための祭祀(さいし)として、節度をもって行われる限り遺骨遺棄罪(刑法190条)に違反しない」との見解を示している。

お別れ会は、悲しまないで和やかに


 午後1時、都内某所の運河より小型船で出航。参加者は約20名で、ご高齢のご夫婦やご家族が大半でした。船の中にはバーカウンターがあり、かなりオシャレ。故人の趣味に合わせて装飾もできるそうです。

 船内でまったりと終活スケジュールをたてるものよし、デッキに出て海風の中、自分の人生に思いを馳せるのもまたよし。思い思いに過ごすこと約20分、模擬お別れ会の開始です。

 黙祷(もくとう)、喪主(もしゅ)の挨拶、献花(けんか)を済ませ、お次はDVD上映会。在りし日の故人の姿をまとめたDVDを、大画面で流してくれるのです。その後、「おくり鳩」という鳥の形に折りたたんだメッセージカードに、故人へのお別れの言葉をしたためます。レクリエーションみたいで楽しいな、とあたりを見回すと、他の皆様も和気あいあいとして和やかではないですか。

おくり鳩

「おくり鳩」に故人へのお別れの言葉をしたためる。

 大切な人を失って悲しいのはもちろんのこと、故人と過ごした日々は愛おしく、涙よりも笑いで満たされていたに違いありません。ここは海、涙の代わりに海水があると考えて、笑って送るのが正解だと思った私。故人だって、残された愛おしき人には、笑っていてほしいはずです

遺骨を海へ。ふと自分の親の顔が浮かぶ


「海洋散骨って、海ならどこでもいいんじゃないの?」と首を傾げたあなた。実はこれ、ガイドラインで散骨場所を制限しており、「人が立ち入れる陸地から1海里(1852m)以上離れた洋上のみ」とされています。

 さらに注意したいのが「自然環境への配慮」。今回の体験でも、遺骨は「水に溶ける紙に包んだ塩」で代用し、遺骨とともに放つ花は茎や葉を取り除き、シンプルに花びらだけを使用しています。

船内の様子

船のあちこちに花が飾られていた。

 船が散骨場所にたどりつき、エンジンが切られました。船って、エンジンを切ると揺れるのです。「散骨場所は波が穏やかな場所を選んでいます」とスタッフの方が説明してくれましたし、天候にも恵まれていましたが、それでもかなり揺れます。

 ちなみに散骨場所は羽田沖。羽田空港第2ターミナルの展望デッキから眺められる位置だそうです。なるほど、これなら船酔いする人でも、無理に乗船せずにすみます。命日やお彼岸などに羽田空港に赴いて「あの海に×××が眠っている」と、心静かに拝めるのです。

 参加者全員でデッキに並び、メインイベントの散骨が始まります。さすがにこの時ばかりは厳かで、うっかり船酔いした私も正気に戻り、ふいに母の顔を思い浮かべてしまいました(まだ母は生存していますが)。

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海面を見つめながら…体験なのに気持ちが入りまくる!

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