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娘の子供と恋人を奪おうとする母…「毒母」を描いた新作映画2選

2.「ダメ出し」タイプの毒母/『レディ・バード』

『レディ・バード』より

『レディ・バード』より

 ただ今公開中の『レディ・バード』に登場するのはプチ毒母親。本年度ゴールデン・グローブ賞で作品賞と主演女優賞を受賞し、口コミで大ヒットした話題作です。  個性的だけれど、格別才能があるわけでもない女の子、レディ・バード(シアーシャ・ローナン)は高校3年生。“文化的なニューイングランド地方の大学へ進みたい”と言う娘に向かって、母親のマリオン(ローリー・メトカーフ)は、“そんなレベルの高い大学にあなたは受からないでしょ”という一言で傷つけます。
『レディ・バード』より

『レディ・バード』より

 ダンスパーティーのドレスなど些細なことにもダメ出しをする母親。よかれと思って娘に助言しているつもりでしょうが、母親に承認してもらいたい娘の欲求はますます満たされず、2人の関係はカラ回りしています。ならば距離をおけばよいのですが、2人の性格は似ているために気分があうときは、まるで親友のよう。
『レディ・バード』より

『レディ・バード』より

 本作の母親は、キャリアも夫も手にし、娘の人生に自分を重ねているわけではありません。ですが、家族の大黒柱として働き苦労する彼女は、多大な自己犠牲を払っています。だからこそ、ワガママ言い放題の娘に対してある種の嫉妬を感じ、ダメ出しを連発する毒母に変身してしまうことも……。  もし、レディ・バードの自我がそこまで強くなければ、母親のすすめる大学や仕事を選ぶでしょう。しかし、それでレディー・バードが挫折してしまったら、人生の責任を母親になすりつけてしまうことは目に見えています。
『レディ・バード』より

『レディ・バード』より

 どこの家庭にもある複雑な母親と娘の関係を、青春の痛みと輝きたっぷりに描いた本作。どんなに仲が良くとも、娘は母親から巣立たなくては、大人になれないのだということをひしひしと感じます。 ====  母親といえどひとりの人間。もちろん長所もあれば短所もあります。親友のように話せても、仲間のように思っても、一歩間違えば、母親は毒母になり得るのです。どんなときも母親は自分のことを分かってくれる味方――このような母性神話から解放されたほうが、母親も娘も楽に生きられるのではないでしょうか。 <TEXT/此花さくや> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 (C)Lucía Films S. de R.L de C.V. 2017  (C) 2017 InterActiveCorp Films, LLC. Merie Wallace, courtesy of A24
此花わか
映画ライター。NYのファッション工科大学(FIT)を卒業後、シャネルや資生堂アメリカのマーケティング部勤務を経てライターに。ジェンダーやファッションから映画を読み解くのが好き。手がけた取材にジャスティン・ビーバー、ライアン・ゴズリング、ヒュー・ジャックマン、デイミアン・チャゼル監督、ギレルモ・デル・トロ監督、ガス・ヴァン・サント監督など多数。Twitter:@sakuya_kono Instagram:@wakakonohana
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