パーツの話になりますが、クリトリスが気持ちよくない女性がいるように、
亀頭がくすぐったく、根元の方が気持ちいいという男性もいます。乳首も然りで、気持ちいい人と気持ちよくない人がいます。また、
気持ちいい日と気持ちよくない日があります。女性ほどホルモンバランスの変化がないので、その影響を受けませんが、気分による感度の変化は男にもあります。それなのに、「男って単純ね」とワンパターンで責められると、否定することもできず、気持ちよくない攻めをただただ耐えながら受けるしかありません。相手の快感を決めつけるのは危険です。

きっと、おそらく、たぶんですが、女性より男性の方が快感のパターンは単純でしょう。それは女性よりも精神的な部分の影響を受けにくく、肉体的刺激に単純に反応しやすいからだと思っています。ですが、男性の快感の頂点であるはずの射精の瞬間でも、気持ちよくないことがあります。
気持ちよくない射精があるのです。
それは、僕の分析によると、
思考を使い、意識的に射精した時ほど快感が消滅します。いわゆる無理出しです。そういう時は、頭から脂汗のような変な汗をかいていたり、たいして激しい動きもしてないのに息が上がっていたりします。男にも気持ちよくないセックスがあるんです。その時、男は肉体以上に精神的に疲れ参っています。
女性は男性に比べて、自分の体に異物である男性器を受け入れるということの意味を深く考える傾向にあります。挿入行為によって女性は妊娠する可能性があるし、人によっては差し出した、奪われた、汚れたと考える人がいて、物理的にも、精神的にも変化に結びつきやすいです。
男も、女性の体に挿入することは特別なことだとそれなりに思っています。程度は違いますが、男女ともに挿入は特別な行為です。すると、挿入したからわかりあえたとか、挿入によって伝わるものが多くなった、深くなったと考えてしまいます。でも実際にはそうではないんです。
パソコンにUSBを差し込むように、その行為で一瞬にして情報の伝達が行われるかというと、違います。

男性器も女性器もただの記号です。心の交流が図れる人間のセックスにとって重要なのは、
目を見ること、自分の気持ちや感覚を言葉で伝えること、手足や肌、全身を使い相手と一体化していくことです。穴と棒のやり取りだけでは、射的か輪投げに過ぎません。挿入がものすごく意味のあることだというのはわかりますが、そこに特別な効果を期待するのは勘違いです。
だったら、セックスじゃなくても会話で充分じゃないかと考える方もいらっしゃりますが、ここがまたセックスの奥深いところで、実際に肌を合わせ、
心のパンツまで脱いだときに得られる一体感は、他のいかなる行為でも代替えが効かないのです。そこに僕はセックスの本質、人間の深淵を見た気がするのです。

森林原人さん
<文/森林原人>
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