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泥酔中に離婚。アル中を克服し再婚した男性を待ち受けていた試練

アル中の自覚なきまま、泥酔中に離婚

 結婚する少し前から、竹田さんの酒量が急激に増え始めた。仕事の内容が大きく変わり、記事を書く仕事ではなく、広告主との調整と進行管理がメインになったためだ。広告主の無理難題に耐えながら、綱渡りのスケジュールをなんとかこなす毎日。心の休まる時は1日たりともなかった。 「もともと酒は好きでしたが、ありえない量を飲むようになってしまいました。仕事から帰ってきても緊張と興奮で寝付けないので、毎日のように寝酒。4リットル1980円とかの安い醸造酒を買ってきて、3、4日で空けちゃう。大量に飲酒すると眠りが浅くなるので、午前2時に寝ても朝6時7時には目が覚める。それでまた飲んで、少しだけ眠って、シャワーを浴びて昼前に出社。そんな毎日でした」  クライアントに愛想よく振る舞う自分と、かつて新聞記者志望だった自分。そのギャップに折り合いがつけられないことも、竹田さんを飲酒に向かわせた。結婚して同居をはじめても、それは変わらない。日に日に酒量が増えていく竹田さんを洋子さんは心配していたが、止めることはできなかった。 アル中の自覚なきまま、泥酔中に離婚結婚して1年くらい経った頃は、目が覚めている時はずっと酔っ払っている状態でした。それでよく仕事ができたものだと思いますが、昼も夜もなく戦場のように激務の職場だったので、なんとかなっていたんです。酒臭いのはまずいと思ったので、出勤前には念入りに歯を磨き、会社では大量のフリスクを頬張っていました」  典型的なアル中だが、驚くべきことにこの時の竹田さんは、自分がアル中だという自覚がなかったという。禁酒外来に通うという発想もゼロだったそうだ。 「ささいなことで洋子と口論し、今から思えば信じられないほど酷い罵詈雑言を吐いて、よく彼女を涙ぐませていました。手を出したことはありませんが、暴力という意味では同じです。僕は完全に壊れていたんです。メンヘラでした」  離婚の決め手もちょっとした口論だ。泥酔した竹田さんが「じゃあ、もう離婚する?」と言うと、陽子さんは躊躇せず「うん」と答えたという。竹田さん31歳、洋子さん29歳。交際をはじめてから約10年で、ふたりの関係は終わった。

人も家族も、簡単に壊れる

「今思えば、一生謝り倒しても足りないくらいの仕打ちを洋子にしたと思います。彼女に悪いところなんかひとつもない。20代の貴重な時間を、僕みたいな飲んだくれに費やして、結局何も残らなかった。心から申し訳ないと思います」  竹田さんは今でも悔いている。 「僕は東北の田舎育ちで、周囲に離婚している家族がなかったので、家族というものは永遠なんだと、心のどこかで思っていました。でも自分の手で家族を壊してしまったことで、家族ってこんな簡単に壊れるんだと思い知ったんです。ショックでしたね」 家族ってこんな簡単に壊れるんだと思い知った 洋子さんの人生を台無しにしてしまった罪悪感と自己嫌悪で、竹田さんの心はいっそう荒んでいく。離婚後、3人の女性と付き合ったが、やはり酒癖が邪魔をして長続きしない。  しかし、離婚から5年後、竹田さんが36歳の時に運命の人が現れる。飲み会で知り合ったデザイン事務所所属のデザイナー・佐智江さん(仮名/当時33歳)だ。 「音楽の趣味が合っていて仲良くなりました。すると2回目のデートの時に言われたんです。お酒飲んでるよね、って。たしかにその日も朝から飲んでいました。僕は死ぬほど恥ずかしくてうろたえたんですが、すかさず彼女が言ったんです。『大丈夫、治せるよ。私も経験あるから』」  なんと、佐智江さんも仕事のストレスからアル中になり、禁酒外来で克服した過去があるというのだ。その後、竹田さんは佐智江さんの献身的なサポートにより、数ヶ月かけて禁酒に成功する。 「命の恩人です。彼女がいなかったら、今ごろ僕は廃人でした」  交際から1年半。竹田さん37歳、佐智江さん34歳でふたりは結婚する。最高のハッピーエンド……と思いきや、話はここで終わらない。
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「あなたと結婚したせいで私の人生が台無しだ」
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