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「いつか普通になるよ」という親切な言葉が痛い<発達障害のリアル>

ぽんちゃんはおしゃべりができない Vol.4】  小学生5年生の娘と小学2年生の息子を持つシングルマザーの筆者が、発達障がいの息子・ぽんちゃんとのドタバタな日々を綴ります。 前回のあらすじ> 2歳なのに歩けない、話せない息子。かかりつけの病院から大きな病院を紹介してもらい検査をしたものの、異常なしという結果が出た。じゃぁ、この子はなんなの!? 筆者は見えない不安に襲われるのだった。

「いつか普通になるよ」と言われても…“普通”って何?

“発達障害”と一言で言っても、その症状は本当に様々で、みんなの性格が違うように、その子によってすべてが異なる。うちのぽんちゃんは、2歳を迎えても歩こうとしなかった。そして、言葉も出ない。2歳違いのお姉ちゃんであるみーちゃんは、2歳の頃はもうペラペラと話していた。比べても仕方はない。わかってはいるけど、どうしても比べてしまう。
※写真はイメージです

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 その頃、周りから一番言われて嫌なのは、「お母さんがたくさん話しかけてあげればいいんじゃない?」という言葉だった。近所の人は悪気なく、息子を見てそう言ってくる。善意なのはわかっている。でも、人一倍話す私は、ぽんちゃんに対して毎日毎日、話しかけている。みーちゃんだって、ことあるごとにぽんちゃんに話しかけているのだ。  この子が言葉を発しないという事実は、そんな簡単なことではない。根本的に違うのだ。  だからこそ、私はその言葉が本当に悔しくて、悲しくてつらかった。でも、親切で話しかけてくれるのがわかるからこそ、ただ笑顔を返すことしかできなかった。そのたびに深く、深く傷ついた。  よく、発達障害の子に対して、「見た目じゃわからないのにね」「あんなの普通だよ」と声をかけてくれる人がいるけれど、自分の子供が“普通じゃない”ことに気づいているママに、この言葉はどんな刃よりも鋭く、心に刺さる。なにより、「いつか普通になるよ」という言葉に、心の中で「普通ってなに!?」と何度も叫んだ。  そう、“普通”ってなんなの?  そんなことをもやもやと考えていても、ぽんちゃんは日々成長をする。たしかに、ほかの子とは違う成長の仕方かもしれないけど、毎日、ちゃんと大きくなる。言葉も話せない、歩けない分なのか、驚くほどコミュニケーション能力が高い。  カフェに入ればかわいいお姉さんを見つけ手を振ってはニコッとキラースマイル。「かわいい~」という言葉に応えるように首をコテンとかしげ、また「かわいい~!」の声を浴びる。その様はアイドル顔負け。人見知りなんてまったくなく、通り過ぎる人たちの視線を集めてはニコッと笑い、褒められては満足そうにしている。
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ぽんちゃんのペースが、ぽんちゃんの“普通”
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