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佐野史郎の狂気にゾッ…極上のリアルホラードラマ『限界団地』

 7月に入って暑い毎日が続きますが、寝苦しい夜にぜひ見て欲しいドラマが、佐野史郎主演『限界団地』(東海テレビ制作・フジテレビ系放送、土曜夜11時40分~)です。

限界団地

「限界団地」東海テレビ公式サイトより http://tokai-tv.com/genkaidanchi/

佐野史郎の円熟した狂気に背筋も凍る!


 舞台はタイトルの通り、郊外にそびえ立つ、とある団地。ある日、かつてこの団地に住んでいた寺内誠司(佐野史郎)が両親を火事で失った孫娘・穂乃花(渡邊詩)と彼の実父・仁(山谷初男)を連れて引っ越してきます。


 ところが、その日から団地では奇妙な出来事が続発。誠司を子どもの頃から知っている老人・依田(小松政夫)は妻の後を追って首吊り自殺し、ゴミ捨てのマナーを守らない老人・松本(柴田義之)は風呂場で不慮の死を遂げ、御用聞きと不倫をしていたPTA会長の郁美(春木みさよ)は情事を暴かれ団地を去っていきます。

 そんな状況のなか、誠司は隣人の専業主婦・江理子(足立梨花)との近所づきあいを深めていきますが、実はその裏には恐ろしい企みが。やがて彼女にも危険が迫っていきそうな雰囲気です。


 誠司がそこまで団地に執着する理由はいったい何か? 彼が穂乃花の両親を殺したと信じて疑わない史代(朝加真由美)は執拗(しつよう)に彼を追いますが、狡猾(こうかつ)な誠司はなかなか尻尾をだしません。

 そうこうしているうちに第4話(6月30日放送)では、若き日の誠司が同じ団地に住む加代子(江波杏子)の夫を殺害していた、という衝撃の事実が発覚します。


 ストーリーは終盤に突入していますが、もはや団地に取り憑かれていると言っても過言ではない誠司の狂気を佐野が見事に表現。何を考えているのかまったくわからない彼の不気味さも回を追うごとに増し、もう目が離せません。

「団地」を通じて高齢化社会の問題をあぶり出す


 あらためて説明するまでもなく、佐野といえば『ずっとあなたが好きだった』(’92年)の冬彦、『誰にも言えない』(’93年)の麻里夫(まりお)役が有名です。

「ずっとあなたが好きだった」

「ずっとあなたが好きだった」TBSチャンネル公式サイトよりhttp://www.tbs.co.jp/tbs-ch/item/d0678/

 個人的には『世にも奇妙な物語 七夕の特別編』(’94年)の「恐竜はどこへ行ったのか?」の田口教授、『TRICK2』(’02年)で「ゾーーーーーン!」と叫ぶサイトレーラー・深見博昭なども印象に残っています。また、現在放送中の大河ドラマ『西郷どん』(NHK総合)では井伊直弼を演じました。


 本作ではそんな佐野の強烈な芝居に呼応するかのように、自治会長・金田役の山崎樹範や江波杏子、山谷初男といった実力派&ベテラン俳優も存在感を発揮。さらには穂乃花が目の前にいない人間が見えるという『シックス・センス』的要素も登場し、現時点で結末は予測不可能です。


 昨年、老人ホームを舞台にした倉本聰脚本のドラマ『やすらぎの郷』がヒットしましたが、この『限界団地』でも住民が高齢化する団地が醸し出す異質な空気感や、狭いコミュニティーで起こるいびつな人間模様を描いており、非常に考えさせられる内容になっています。

 独居老人、孤独死、老老介護など、すでに到来している高齢化社会の問題を如実に反映し、単なるホラードラマでは終わらない強烈なリアリティーを放つこの作品。その意味ではまさに“裏”トレンディドラマとも言えるでしょう。

<TEXT/中村裕一>
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