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死んだ親友からメールが…切なく怖いドラマ『青と僕』は隠れた名作

悪意なく人を傷つけているかもしれない

 また、あるとき、“ぼく”に度重なる嫌がらせをしていた犯人の正体がわかりますが、“ぼく”はその人物をまるで知りません。実は「痴漢」(おそらく冤罪)を捕まえ、それをSNSでつぶやいたことにより、その関係者に恨みを買ってしまったのでした。  善意で痴漢を捕まえたはずが、その「痴漢」は投げ飛ばされた際に頭を強打、後に亡くなってしまっていました。  人を傷つけるのは、悪意や憎しみなど、積極的な負の感情ばかりではありません。  変わってしまった“あいつ”の絵を「怖い」と言うのも、ホストクラブで働いていた過去を知り、「こんなところで働く奴じゃない」と言うのも、単に「雑」で鈍感で、無神経なだけ。  社会人になって忙しい日々を送る“ぼく”が“あいつ”に何気なく言った「お前ってさ、ずっとそういうこと言ってるけどさ、本気で思ってないだろ。本気で『明日死ぬ』とか思ってないだろ。そういう風に見えねえもん、お前」の言葉だって、どこにも悪意はないのです。 『青と僕』を見ていると、自分にとっての善意や、他意のない言動、鈍感さが、知らず知らずのうちに誰かを傷つけ、追い詰めていることがあるかもしれないと感じ、ゾッとしてしまいます。  残るは8月13日放送分の最終回のみ。  死の直前、“あいつ”が“ぼく”に送った「見せたいものがある」というメールには、どんな意味があったのでしょうか。はたして“あいつ”の死の真相とは? 忘れていた、あるいは目を背けてスルーしてきた青春の痛みと罪の結末が気になって仕方ありません。 <文/田幸和歌子> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
田幸和歌子
ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など。Twitter:@takowakatendon
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