20歳以上も年下の子へ、嫉妬している自分にぞっとした
ラブホで彼と過ごして車で近所まで帰ってきたときのこと。住宅街で徐行運転をしていると、息子が歩いてくるのが目に入った。

「息子が手を振っていたんですよ。前を見たままどうするとTクンに聞いたら、ここで降りると。ふたりが言葉を交わして入れ代わりに息子が助手席に乗り込んできました。
『偶然、会ったんだって?』と息子。そうなのよとしれっと答えましたが、さすがにまずいなとドキドキ。すると息子が『
あいつ、元カノと復活したらしいよ。これで元気出して就活もうまくいくといいんだけど』と。あ、そうだったのと力が抜けました」
帰宅後、めらめらと嫉妬心が頭をもたげてきて、彼女は自分で自分にぞっとしたという。20歳以上も年下の息子の友だちに嫉妬するなんてと自嘲(じちょう)してみても、心のざわつきは止まらない。ついTクンに『元カノと戻ったんだって? よかったね』とメッセージを送ってみた。するとすぐに『戻ってないよ。〇〇(アキコさんの息子)にはそう言ったけど』と返ってきた。
「それを見てほっとしたんですが、いずれにしても潮時だと感じました。『もう会うのをやめようね』と送ると、『どうして?
僕、卒業したらあなたに離婚してもらって一緒になりたい』と。それを見て、そんなふうに思わせてしまって申し訳ないと思いました。若い子は一途なんですよね。それを忘れていた」
彼女は翌日に彼に会って、説得した。
あなたはまだ若いのだから、将来のある女性と一緒になるべきだ、と。彼は涙目になって、「ほんとに愛しているんだ」と繰り返した。
「そのとき、彼の携帯にある企業から内定の連絡があったんです。彼、本当にうれしそうでした。たぶん、それですべてが吹っ切れた……というか、将来に明るい希望が見えた瞬間、目の前の私がくすんで見えたんじゃないかしら。
明らかに私への執着の糸が切れたのがわかりました」
これでいいのだと思いながら、アキコさんの心が暗くなったのは想像に難くない。若い人には将来がある。40代も後半になった自分には「明るい未来」は見えなかった。だが、それが「人生というものだ」とも思ったと彼女はしみじみと言った。
<文/亀山早苗>
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【亀山早苗】
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『
復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数